「脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち」スラヴォミール・ラウイッツ
無実の罪でシベリア送りになったポーランド陸軍騎兵隊中尉・ラウイッツ。
6人の仲間と脱走し、シベリアからインドまで歩いていく。
酷寒のシベリア、空漠たるゴビ砂漠、屹立するヒマラヤ山脈。
ハリウッド映画のような波乱万丈の展開。
一気読みの面白さだった。
脱出劇だけでなく、旅行記としても面白いし、サバイバル記録としても貴重でだし、冒険談としても楽しめる。
途中で追っ手の恐怖も去り、ロシア軍を気にする必要もなくなる。
もう、そこでしばらく滞在したら?と思ってしまう。
でも、彼らは根っからの「旅人」で「冒険家」なんでしょうね。
よくこれだけのメンバーが集まったものだ。
(もし滞在してしまったら、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」になってしまう…それはそれで面白いと思うけど)
チベットで出逢ったサーカシア人について
P358
「あの人たちを見ていると、自分のほうが卑しい気がする。これまで、人間としての尊厳を失った人々に対する、苦々しい記憶がわだかまっていたが、あの人たちがそれを、ほぼ一掃してくれた」
PS
ゴビ砂漠を渡るとき、もう少し情報収集して、装備を調えたら良かったのに。
もっと大きな水袋を持つとか。
でも、これって「後知恵」なんでしょうね。
【おまけ】
椎名誠さんがあとがきで、脱出行ベスト3を選んでいる。
1冊は本書、他の2冊は次のとおり。
「ヒマラヤのスパイ」
「ラオスからの生還」
【ネット上の紹介】
こんな極寒の地でこのまま朽ち果てたくない―第二次世界大戦のさなか、ポーランド陸軍騎兵隊中尉だったラウイッツは無実にも関わらずソ連当局にスパイ容疑で逮捕された。苛烈な尋問と拷問の末、下された判決は25年間の強制労働。そしてシベリアの強制収容所へと送られた。意を決した彼は6人の仲間と収容所からの脱走を計画し、見事成功する。なんとかシベリアの原野を抜け、徒歩で一路南へと移動を始めた彼らだったが、その前途には想像を絶する試練が待ち受けていた!極限状況を生き抜いた男たちの、壮絶なるノンフィクション。