【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「陽炎の男~剣客商売」(3)池波正太郎

2016年06月23日 20時14分33秒 | 読書(歴史/時代)


「陽炎の男~剣客商売」(3)池波正太郎

シリーズ3作目を読んだ。

【シリーズ全般について】
どの作品も適度な長さの短編が集まっている。
短編の集まりなので、手に取りやすい。
登場人物たちは少しずつ成長しており、それにつれ物語も進んでいく。
結果、全体として大きな物語となっている。
このように、構成にも人気の秘訣がある。

当時の男女はどうして出逢ったか?
P153
「先生。私は、その、甘いものが好きでございまして……」
「両刀使いか。たのもしいのう」
「ですから、汁粉屋へ、よくまいります」
「五百石取りの跡とりがのう」
「お照とも、その汁粉屋で知り合いましたので……はい、すぐ其処の天王町の梅園でございます。あの店の白玉汁粉はまことに結構なものです」
 当時の汁粉屋は、女子供だけのものではない。甘味を好まぬ男も、よく出入りをした。というのは、ここが男女の相引の場所にもなっていたからで、入れこみの座敷のほかに、しゃれた造りの小座敷がいくつもあって、まことに重宝なのだ。