「イスラーム圏で働く」桜井啓子/編
イスラム体験記・・・様々な分野で活躍する日本人が、イスラム社会を語る。
早稲田大学で、全学の学生を対象に、「働く日本人のイスラーム」という講演会を毎月1回開催して、それを著者がまとめたのが本書。…講演会は、イスラーム圏への赴任経験をもつさまざまな業種の方たちを大学にお招きし、ご自身の仕事体験を学生に語っていただくというものだった。(P203)
P8
「イン・シャー・アッラー」は、「神さまがそう望めば」という意味ですから、本来はネガティブな意味はないはずです。しかし、機内や社内での一般的な使い方は、たとえば、自分の仕事で手一杯な時に、同僚から「あれをやっておいて」と振られたとします。断るときには、「ノー」ですが、自分の仕事が済めば、やってもいいけども、今はできないといった場合には、「イン・シャー・アッラー」と返します。とりあえず流すときに「イン・シャー・アッラー」と言っているわけですね。
P12
日本では、縁の下の力持ち的な働き方は尊敬されますが、こちらではほぼ評価されません。しっかり働いていることを上司に見せることが重要なのです。
P13
また、アラブの特に女性たちは一般に気が強く、自分に非があってもあまり謝りません。一番やっかいなのは、自分のミスを相手に転嫁するパターンです。
P17
現在、国際的に機内への液体物の持ち込みは規制されていますが、エミレーツ航空では、100ミリを超えていても、メッカの聖モスク内にあるザムザムの泉の神聖な水をつめたボトルだけは、持ち込み可となっています。
P42
イランでは、女性は、親族以外の男性と接触してはいけないのです。(だから、握手を求めてはいけない)
P76
中東のムスリムは旅人を歓待すると言われていますが、本当にそうです。
「マレーシ」=要は「僕のせいでもないし、君のせいでもない」
P138-139
日本人が「反省する」といった場合、三つの意味が一つになったものだとある本で読みました。自分の間違いを認めること。その間違いを恥ずかしいと思うこと。その間違いを二度と繰り返すまいと自分に誓うこと。では、自分の間違いを認めることが正しいとされている文化を持っている国はどれぐらいあるか。おそらく少数でしょう。少なくともアラブでは、日本人のように「反省」する人はいないはずです。「あなたのせいでもないし、僕のせいでもない」のです。
【ネット上の紹介】
世界に広がる一六億人のイスラーム市場。これからのビジネスに、イスラームの人びととの付き合いは必須だ。でも、なじみがなく戸惑う人も多いのでは?そんな時の心強い味方―商社・石油・建設・食品・観光など、現地で活躍する日本人が、土地と人と仕事を語る。地域別解説も付した体験的イスラーム案内。
[目次]
第1章 イスラームの懐に飛び込む―湾岸諸国
第2章 アラブとの付き合い方―アラブ諸国
第3章 誇り高きペルシアの人びと―イラン
第4章 西洋に最も近いイスラーム圏―トルコ
第5章 イスラーム?それとも地域の風習?―南アジア
第6章 イスラームとの新しい付き合い方―東南アジア、そして日本