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「かけおちる」青山文平

2017年08月03日 19時28分35秒 | 読書(歴史/時代)


「かけおちる」青山文平

「かけおちる」とは「欠け落ちる」で「駆け落ち」のこと。
かつて妻が男を作って、駆け落ちした。
その亭主にあたる老武士の話。
舞台は地方の小さな藩で、経済事情が絡んでくる。
著者2作目だが、現在の青山文平作品の基礎が出来ている。

P30
頭が動く輩は往々にして軀が動かず、軀が動く輩は頭が動かない。頭も軀も動かぬ輩はわんさといる。

【著者の言葉】P268
時代は、武家に、確固たる居場所を用意してくれません。それぞれが武家とはいかなる存在なのかを突き詰めて、日々を編んでゆかなければなりません。そのもがく姿に、人の地肌が浮かび上がります。そして、その姿は、じっと動かぬ、いまという時代と格闘する、私たちとも重なるのです。

【おまけ】
これにて、青山文平作品を全て読んだことになる。
もし、これから初めて読む方がいたら、薦める順番は次のとおり。

直木賞受賞作…一般受けする作品、と思う
 ↓

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藩札をテーマにした作品、こちらを一番最初に読んでもいいかも(私もそうした)


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【ネット上の紹介】
二十二年前、妻と姦夫を成敗した過去を持つ地方藩の執政・阿部重秀。残された娘を育てながら信じる道を進み、窮乏する藩財政を救う秘策をついに編み出した今、“ある事情”ゆえに藩政を退こうとするが―。重秀を襲ういくつもの裏切りと絶望の果て、明らかになる人々の“想い”が胸に響く、感涙の時代長編。