「海鳴り」藤沢周平
藤沢周平作品は暗く湿っぽい印象があるが、本作品はその極みか?
藤沢周平作品が好きな人はたまらないでしょうね。
それに、「蝉しぐれ」でも感じたが、男に都合が良すぎる恋愛模様。
これも男のロマンと感じるか、鼻につくかは、人による。
色々言ったけど、上下2冊を一気読みさせる筆力はさすが。
そのころ、新兵衛の胸にある不思議な感覚が生まれた。ある時期を境にして、自分が老いの方に身を置いてしまったような感覚である。これまで考えもしなかった、老いとその先にある死が、いやに明瞭に見えた。そして、疲れを知らずに働いたつい二、三年前までのことは、奇妙なほど遠くに思われたのである。
テーマは老いらくの恋と不倫。
高齢者必読?
【ネット上の紹介】
はじめて白髪を見つけたのは、いくつの時だったろう。四十の坂を越え、老いを意識し始めた紙商・小野屋新兵衛は、漠然とした焦りから逃れるように身を粉にして働き、商いを広げていく。だが妻とは心通じず、跡取り息子は放蕩、家は闇のように冷えていた。やがて薄幸の人妻おこうに、果たせぬ想いを寄せていく。世話物の名品。