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「官僚の責任」古賀茂明

2018年04月12日 20時09分48秒 | 読書(現代事情)

「官僚の責任」古賀茂明

元・通商産業省(現・経済産業省)官僚による官僚の生態を暴いた作品。

P54-55
これだけ我慢強く、まじめで、勤勉な国民がそろっているにもかかわらず、将来に希望をもてない国になってしまったのは――政治の責任もあるが――やはり官僚の責任が大きい。政治家と違って身分が保証されている官僚は、長期的視野に立って物事を考えられたはずだからだ。それなのに官僚は、将来訪れるであろう問題に対して、なんら効果的な対策を施さなかった。

P208
それにしても、経産省や保安院の幹部は、津波の基準を甘くした責任者である。そんな人間たちの言うことは信じられないし、その責任を問わない大臣も信用できるわけがない。
さらに、電力会社に多くの天下りを送り込んでいる現状を見るかぎり、経産省は電力会社と癒着していると思うのが自然な感覚だ。

【ネット上の紹介】
「霞が関は人材の墓場」―著者はそう切り捨てる。最高学府の卒業生、志を抱いて入省したはずの優秀な人間たちが集う日本最高の頭脳集団。しかし彼らの行動規範は、「国のため」ではなく「省のため」。利権拡大と身分保障にうつつを抜かし、天下りもサボタージュも恥と思わない…。いったいなぜ官僚たちは堕落の道をたどるのか?逼迫する日本の財政状況。政策提言能力を失った彼らを放置すると、この国は終わる。政官界から恐れられ、ついに辞職を迫られた経産省の改革派官僚が、閉ざされた伏魔殿の生態を暴く。
【目次】
第1章 「政治主導」が招いた未曾有の危機(早まった日本崩壊のカウントダウン
テレビドラマ程度の対応策すら実行できなかった政府 ほか)
第2章 官僚たちよ、いいかげんにしろ(発送電の分離は十五年前からの課題だった
原発事故の一因は経産省の不作為にあり ほか)
第3章 官僚はなぜ堕落するのか(改革派から守旧派へ転じた経産省
規制を守ることが使命という「気分」 ほか)
第4章 待ったなしの公務員制度改革(増税しなければ国は破綻するという脅し
官僚一人のリストラで失業者五人が救われる ほか)
第5章 バラマキはやめ、増税ではなく成長に命を賭けよ(ちょっとかわいそうな人は救わない
年金支給は八十歳から? ほか)