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「80’s」橘玲

2018年04月08日 20時37分45秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)


「80’s」橘玲

思った以上におもしろかった。
いままで、著者の作品(小説&ノンフィクション)を何冊か読んできたが、一番おもしろかったかも。
80年代から90年代前半を懐かしく思い出しながら読んだ。

P141
マイケル・ジャクソンの「スリラー」が世界を席巻したのは1982年で、「MTV]とそこで流されるPV(当時は「ビデオクリップ」と呼ばれた)がはじめてテレビで紹介された。83年にはシンディ・ローパーが「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」で、84年にはマドンナが「ライク・ア・ヴァージン」で大ヒットを飛ばした。イギリスの人気デュオ、ワム!がクリスマスソングの定番「ラスト・クリスマス」を出したのもこの年だ(世の中はグリコ・森永事件で大騒ぎしていた)。

P199
89年1月に昭和天皇が崩御し、「不確実性の時代」が始まった。もちろんそれは日本だけのことではない。世界ではベルリンの壁崩壊(89年11月9日)とソビエト連邦の解体(91年12月25日)という現代史を揺るがす大事件が起き、第二次世界大戦後の国際秩序をつくってきた冷戦が終演した。
 この混乱に乗じてイラクのサダム・フセインがクェートに侵攻し、91年1月にはアメリカを中心とする多国籍軍の攻撃が始まった。日本では自衛隊の参加の是非が大論争を巻き起こしたが、じつはサウジアラビアが国土防衛のため米軍の駐留を認めたことが歴史を大きく動かすことになる。聖地メッカを異教徒が守ることに反発したウサーマ・ビン・ラーディンが、2001年の同時多発テロを起こすことになるからだ。
 もちろんこれは現代から振り返っていえることで、渦中にいるときはいったいなにが起きているのかわからなかった。89年6月には中国で民主化を求める天安門事件が起き、その後、中国共産党は鄧小平のもとで大胆な経済自由化に踏み出すのだが、当時の論調は難民が「盲流」となって日本に押し寄せてくると煽るものばかりで、中国の驚異的な経済成長が始まることを予想したひとはほとんどいなかった。

【おまけ】
橘玲さんて頭はよいけどエキセントリックでとっつきにくい人って思っていたが、本書を読むと、真面目で、友だち思いな面もある。つまりけっこう「いいやつ」じゃないか。見なおした。

【参考リンク】
橘玲『80's ――ある80年代の物語』

【ネット上の紹介】
日本がいちばんきらきらしていたあの時代、ぼくは、ひたすら地に足をつけたいと願った。バブルの足音からその絶頂、そして崩壊まで、1982年から1995年までの長い長い“80年代”の青春。
Prologue No Woman,No Cry
1978‐1981 雨あがりの夜空に
1982 ブルージンズメモリー
1983 見つめていたい
1984 雨音はショパンの調べ
1985‐1995 DEPARTURES
1995‐2008 マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン
Epilogue Redemption Song