「英語は「やさしく、たくさん」」伊藤サム
P42
大人にとって、語学学習の根本的障害は、「もう子供ではない」こと、つまり脳が完成し成長がほぼ止まり、新しいことは覚えにくくなったことでしょう。英語についても、何度勉強しても同じミスを繰り返すようになり、上達しなくなります。こういったpermanent error patterns状態になることを、言語学者はfossiize(化石化する)、と呼んでいます。
これは英語力がいつまでたっても中級のまま止まってしまった、といった状態です。化石化の原因は詳しくは分かっていませんが、脳の成長、母語(日本語)による干渉、学習法などが関係しているとされています。
P46-47
脳の研究が進むにつれ、人間の脳は70代になっても80代になっても、必要があれば変わろうとする性質があることが分かってきています。(中略)
脳をさらに成長させるには、新しいこと(英語)にチャレンジする意欲を持ち、正しい方法で勉強し、脳に刺激を与え続けることが大切だと思います。(中略)
一度成長が止まった脳に、もう一度エンジンをかけるには、「たくさん」の刺激が必要です。
P47
日本人の脳は、もう「日本語の発音・文法・単語のみが正しい」ということに凝り固まっています。「新しいことを覚えても、すぐ忘れてしうまう」と嘆く方はたくさんおられますが、脳には日本語への復元力があるのではないでしょうか。(中略)
この復元力に似たことを言語学者は「母語干渉」(first language interference)と呼んでいます。
P67
学者の論文を見ても、実用レベルに達するまでに要する学習時間数は3000時間などとあるので、妥当な期間だろうと思っています。もし毎日、起きてから寝るまで英語漬けになったとすると、半年でこの時間数に達します(1日16時間×183日=2928時間)。
【蛇足】
本書を読んでいて、クライミング練習に当てはめて考えてしまった。
ある程度のレベルになると、いくら練習しても上達しない。
脳と身体が「もう十分」と判断し、「これ以上やると身体が壊れるよ」と信号をだす。
「化石化」と「母語干渉」である。
これを打破するには、「たくさんの刺激」と言うことだろう。
(でも、上達する前に、故障か怪我をするかも)
本書を読んでいて、そんなことを考えた。
【ネット上の紹介】
今度こそ、本気でやり直したい人のために。日本で長いこと行われていた英語の勉強スタイルは、訳読式の「難しく少し」でした。これを続けてきて、伸び悩んでいませんか?そういう人は今こそ、「やさしくたくさん」に転換すべき時です。やさしい教材に大量に接すれば接するほど、脳に与える刺激は大きく、効果バツグンなのです。今さらやさしい教材に戻るのはプライドが許さないかもしれませんが、そのプライドを捨てて、今一度基礎に戻ってみて下さい。実はそれこそが、英語習熟への一番の早道なのです。
第1章 やさしくたくさん、とは?
第2章 今すぐできる「CDはかけっぱなし」
第3章 英語が話せないのは「化石化」のため
第4章 英語マスター超特急―私の体験から
第5章 英語「そのもの」を学んできましたか?
第6章 やさしいイマージョンで英語脳を伸ばす
第7章 すぐ英語が必要な人は基礎+専門用語
第8章 やさしくたくさん聞く
第9章 やさしくたくさん読む
第10章 やさしくたくさん話す
第11章 やさしくたくさん書く