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「死ぬ気まんまん」佐野洋子

2018年06月03日 20時48分10秒 | 読書(エッセイ&コラム)

「死ぬ気まんまん」佐野洋子

佐野洋子さんは、2010年11月に亡くなられた。
本書は、次の2編からなる。
「死ぬ気まんまん」小説宝石2008年5-7月号
「知らなかった」婦人公論1998年10月22日号~11月7日号
単行本は、死後の2011年6月、光文社から刊行。

P72
 金持ちは金を自慢するが、貧乏人は貧乏を自慢する。
 みんな自慢しなければ生きていけないんだな。
 夕食の時の訓示にもう一つあった。
「一番大事なものは金で買えない」
 私にとって一番大事なものは何だったのだろう。
「情」というものだったような気がする。

P106
ただ息をしていればいいのかというと、人生の質というものもあるじゃないですか。それを、何よりも命が大事だというのはおかしいですね。

P61
私は利口ではないが、すごく馬鹿というわけでもないと思っていた。しかし、私は今度生まれたら「バカな美人」になりたい。この間、鏡で顔を見て、「あんた、その顔でずっと生きてきたんだね、健気だったね、偉かったね」と言ったら涙が出て来た。自分の健気さに。
 死んで棺桶に入ったら、棺桶の小窓から、死んだこの顔をみんな見るのかと思うと気が滅入る。

【ネット上の紹介】
ガンが転移し余命二年を宣告されながらも、煙草を吸い、ジャガーを贈入し、ジュリーにときめく。そんな日常生活や、一風変わった友人たち、幼い頃の思い出などが、著者ならではの視点で語られる(表題エッセー「死ぬ気まんまん」)。併せて主治医との対談や、関川夏央氏による「『旅先』の人」などを収録。著者の思いがいっぱいに詰まった魅力的なエッセー集。
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