「展望塔のラプンツェル」宇佐美まこと
児童虐待がテーマ。
故に、読んでいて楽しくない、逆に、苦しい。
でも、物語の流れ着く先が気になって、やめられない。
そんな作品だ。
なお、本書は、2019年「本の雑誌ベスト10」第1位。
【蛇足】
毎回、このような重い作品を読むのはしんどいが、たまにはいいかも。
ただ、軽い作品が好きな方は、やめておいた方が良い。
・・・心のダメージが大きいから。
構成がよいので救われる。
過去と現在が絡み合い進行する。
最後に、「あっ」となる。
この構成がなければ、ここまで評価されなかったかも。
【ネット上の紹介】
多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか―。