「淳子のてっぺん」唯川恵
田部井淳子さんは、昨年2016年10月20日に亡くなられた。
本書は、彼女をモデルにして「小説」という形で描いている。
とても面白く感じた。
昭和21年、小学校に入学するところから物語が始まる。
やがて東京の大学に進学し、田舎に帰らず東京で就職する。
フェミニズムとはほど遠い当時の世相を背景に、どのように山の世界にのめり込んでいったのか丁寧に描かれる。
山好きな方にお薦め。
山に登ったことのない方も、読んだら「登ってみようか」、って思うかもしれない。
【校正ミス?】
登場人物は実名だったり仮名だったりする。
主人公の田部井淳子→小説では田名部淳子。
隊長の宮崎英子→小説では広田明子。
平川宏子→小説では広瀬小百合。
山岳会の名前・竜鳳登高会→小説では「昇龍山登会」。
P199若山美子さんが実名で登場する。
「あら、でもあなたは川井さんとマッターホルン初登頂に成功してるじゃない」
(川井とは、もちろん、今井通子さんのこと。著者は仮名で挙げている)
P209
「ううん、マッターホルンを一緒に登った今井通子と組んで、グランド・ジョラス北壁を狙う計画が持ち上がって、(後略)」
(こちらでは、実名で名前を挙げている…この辺り、統一感がない。校正の方が指摘すべき箇所、と思うけど)
【参考リンク】
公式HP
NHKアーカイブス 日本女子登山隊エベレスト登頂(1975年) - 日本放送協会(NHK)
【参考図書】
【ネット上の紹介】
2016年10月に逝去した登山家・田部井淳子。男女差別が色濃い時代、女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した彼女は、どのように生き、どのように山に魅入られたのか―その物語を完全小説化。山を愛し、家族を思い、人生を慈しんだ淳子が、その“てっぺん”に至るまでの、辛く苦しくも、喜びと輝きに満ちた日々。すべての女性の背中を優しく押してくれる、感動長篇!