(美しき雪の妻有@津南~越後田中間)
駅の近くに「田中温泉しなの荘」といういい温泉があるので、こっちの方に来る際には度々訪れている越後田中駅界隈。駅を見下ろす田中の集落のどん詰まりに除雪車が押し込んだ雪の小山があったので、それを足場代わりに雪を慎重に踏み固めながら三脚を並べます。越後田中駅の津南側は、森を抜けて来た飯山線が里山の縁をなぞりながらSカーブを描く線形で好きな構図なんですよねえ。春になると田んぼのあぜに菜の花とか芝桜が咲いたりしてまた良いのです。かように越後田中の周辺ってのは結構フォトジェニックな場所ですが、今は棚田も一面の雪に覆われ、春の訪れを静かに待っています。
鉛色の空の下、雪の上を渡って来る冷たい風の音の他は何も物音が聞こえない。まさに静謐という言葉がぴったりの田中の集落である。国道が信濃川を挟んで対岸を走っているので、余計に静けさが保たれているのかもしれない。列車の接近の時刻が迫っているので耳を澄ましてみるのだが、音が雪に吸収されてしまうのか列車のジョイント音が聞こえないのだ。遅れているのかな…?とヤキモキし始めたその時、雪の森から音もなく飯山色が姿を現しました。
「何となく」のアテが当たった事に満足しながら、メインカメラとサブカメラで二丁切り。この時間の津南のアメダスは氷点下4.4度、積雪深121cm。針葉樹にフワリと乗った新雪と、枝分かれした木々の樹氷が飴細工のようで素晴らしくきれいだ。足元から昇って来る寒さをしばし忘れて、氷点下で固定された美しき白い世界を楽しみます。
雪原にSカーブのシュプールを優しく描きながら、列車は越後田中の駅へ。モノトーンのキャンバスを明るく切り裂く飯山色のカラーリングが改めていいよなあ。そしてキハ110の幌付き長野側エンドは至高。元々この辺りの風景が昔からとても好きなのもあるんだけど、妻有の冬景色の中を走る飯山色の姿は何というか圧倒的に「ニッポンのタダシイ冬景色」だよなあ。ここで飯山色を撮りたいと考えていた構図でもあったんで、なんか大雪予報に億劫がらずに来て良かったよね。と妙にほっこりしてしまったよ(笑)。俺GJ。