青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

雌阿寒かあちゃんの懐に抱かれて ~バナ釘リベンジツアーその3~

2006年03月05日 02時28分12秒 | 日常
(写真:雌阿寒温泉野中温泉別館)

別館って、本館はどこなんだ?と思ったら、本館は隣のユースホステルなんだって。この時期は来る人も本当に少ないそうですが(そりゃそうだ)。

列車は足寄に到着。
何やらホームが騒がしいと思ったら、時刻表には載っていない特別列車が到着していた。「ふるさと銀河線」って事で「銀河鉄道999」のペイントがされている車両があるらしく、しかも車内を見ると、あの車掌のフィギュアが運転席に飾られている(笑)。これはデフォなんだろうか。それともマニアが持ってきて飾ったんだろうか。持って来たとしたらよく空港のゲートを通ったもんだw
ちなみに私は松本零士なら「サイボーグ009」の方が好きだったけどね。

再びレンタカーのエンジンを入れ、一路雌阿寒温泉方面へ車を走らせる事にする。時間的にはまだ午後2時過ぎなのだが、日は既に若干傾きかけている。北国の夕暮れは早いからね。ここは道東。
足寄の駅前から国道241号線へ折れると、ひたすらゆるい谷に沿って同じような景色が同じように続く。冬の間家畜に食べさせる俵型に巻いた牧草が積まれた牧場と、重機が置かれた飯場、やってるのかどうかすら疑わしいドライブイン。人工物といえばそんなもの。あとは雪をかぶった耕地とも原野ともつかないような野原。北海道らしいと言えば北海道らしい。このあたりは人の背丈よりはるかに大きくなる「ラワンブキ」と言うフキの特産地であるそうだ。確かに、こんなに何もない場所なら、フキも人様に気兼ねせず伸び伸びと育つだろうな。
谷の合間に続く道を囲むように連なる低い山の切れ切れに、真っ白い雪山がチラリチラリと見えて来る。あれが雌阿寒岳(めあかんだけ)だろうか。車を進めるにつれて、その姿が次第に大きくハッキリと見えて来た。

茂足寄(もあしょろ)と言う集落から、車を止めてその山容を眺めてみる。
右が阿寒富士・左が雌阿寒岳。優雅で裾を大きく引いた、まさに「富士」と言う形容がぴったりの阿寒富士に、何度も爆発を繰り返したのだろうかゴツゴツした姿の雌阿寒岳。「雌」と言う形容が果たして合っているのかどうか…
肝っ玉の座った雌阿寒母ちゃんに富士ダンナが尻に敷かれている様子にも見えるし、雌阿寒岳のドトーの寄りに阿寒富士が俵で何とか残っているようにも見える。それとも雌阿寒岳が田中真紀子、阿寒富士は田中直紀のようにも見え…(笑)。まあ、キリがないが何ともアンバランスな山容が面白い。
「雌阿寒温泉入口」の表示を右に折れると、ようやっと路面にも雪が目立ち始め、道の勾配はさらにきつくなる。深い森を切り開いた道のスリットから、さっきよりもさらに大きな山の姿が目に飛び込んで来る。程なく小さな旅館が3つひっそりと寄り合うように固まって現われ、ここがどうやら今回の旅の目的地、雌阿寒温泉に到着したらしい。本当に雌阿寒岳の足元だ。ドアを開けるまでもなく、温泉らしい硫黄の香りがぷんと鼻を突く。ここから先は「アイヌの神秘の湖」と言われたオンネトーへさらに道が続いているのだが、残念ながら冬季通行止めだ。

こんな山奥にあるにもかかわらずこの温泉の歴史は古く、大正時代にはもう開湯されていたと言うから、北海道では老舗の湯治場、と言う感じである。山奥の温泉場の帳場には、耳が遠いか訛りがきつくて何言ってっか一切不明のババアが似合うもんだが(勝手なイメージ)、受付をしたのは益子直美似の意外にも若目の人妻であった(笑)。週末ではあるが、完全にシーズンオフと言う事で静まり返った館内。部屋も空きまくっているのだろう、10畳+6畳の大部屋をあてがわれて、まずは荷を解いてくつろぐ。編集長、早速トリノですかい。気が早い。
こちらはこちらで、とりあえずここまで無事来れた事で気持ちは一段落。今日の任務は完了と言う事で早速温泉でも浸かって来よう。浴室は青森とか岩手の湯治場を思わせる全面ヒバ作りに、青白いお湯がなみなみと注がれておりまして、肝っ玉かあちゃん・雌阿寒岳の火山エキスを凝縮したような硫黄の匂いと、ハッカとかミントのような刺激臭が鼻にツンツン来るのは北海道だからだろうか。
温度は意外にも長風呂向きのぬるめで、熱い湯はやや苦手な私にはちょうどいい。露天風呂に出ると、ぬるいと言うか入ってないと寒い(笑)。ただ、首までとっぷりと浸りながら、積もった雪の下の岩陰に隠れて夕日なんぞを見つつぼへ~っとしていると、

とりあえず全てリセット!

そう言う気分になるのでありました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最後の冬 真昼の銀河 ~バ... | トップ | 穴は掘らなきゃ当たらない ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日常」カテゴリの最新記事