青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

終点の一つ前。

2021年06月03日 17時00分00秒 | 上田電鉄

(上田交通・八木沢駅@平成18年6月)

外付けのHDDの中に、少し懐かしい上田交通別所線の姿が保存されていた。データには平成18年6月とあるので今からちょうど15年前。フォルダの中身をザクッと見たら、この時も信州にドライブに行き、温泉巡りなんぞをしながら長野電鉄や上田交通を撮影していたようだ。15年前とは言え、もうこのブログを書いていた頃だから、アーカイブを遡ればその頃の記事も出て来ると思うのだけど、なんか恥ずかしいからやめておく。そうそう、青木村にある田沢温泉の「ますや旅館」に泊まって、翌朝に塩田平をブラブラしながら別所線を撮影したんだった。正面がくの字に折れたダイヤモンドカットの7200系、この顔が上田交通の主力だった頃。

八木沢駅。別所温泉の一つ手前。この辺りから塩田平の沃野も徐々に狭まり、独鈷山から続く山並みの麓にある別所温泉に向かって、線路は登り坂になって行く。そんなアプローチの場所に当たるのがこの駅。「地方私鉄において、終点の一つ手前の駅は佳い駅が多い」という理論を個人的に提唱しているのだがどうだろうか。上田電鉄の八木沢駅もそんな駅のうちの一つ。ずっと昔から変わらぬ木造の駅舎と、郷愁を引き立てる赤ポスト。八木沢と言えばこの赤ポストだなって思うよね。

舞田から段々に作られた水田の中のスロープを登り、別所温泉行きが八木沢駅にやって来ました。ちょうど一枚目の構図に似た形での撮影。15年前と駅舎は変わっていませんが、電車は新しくなり、ホーム周りもそれなりに変わっていますね。別所温泉側に建っていた木造の小屋(トイレ?)が壊され、周囲の雑木も刈り払われています。今にも崩れそうだったホームの端はコンクリートで土留めされ、なにより駅舎が塗り直されてきれいになったよね。

終点の一つ前の良駅。パッと思い付くのは地鉄の音沢や本宮、えち鉄の比島、長電の上条、上信の千平、大鐵本線の崎平、いすみの西畑、秩鉄の白久、そしてこの上田の八木沢。行った事があるのはこの辺りなのだけど、山裾の街や温泉場に向かって行く鉄道が、終点の街の手前で見せる極めてローカルな雰囲気に特徴があって、あながち間違ってもいないような気はしている。あなたのお気に入りの「終点の一つ前」、あったら教えて下さい。


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