tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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桜とともに生きる~吉野・生命と再生の聖地~

2016年07月01日 | 奈良にこだわる
6月17日(金)、東京の虎ノ門ヒルズ5Fメインホールで「桜とともに生きる~吉野・生命と再生の聖地~」というシンポジウムが開催された。私はあいにく出席できなかったが、当日の模様は鹿鳴人さん(NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」理事)のブログ「鹿鳴人のつぶやき」に詳しく紹介されている。少し長いが引用すると、

6月17日、東京・虎ノ門ヒルズ5階ホールでの、シンポジウムに出かけました。奈良県主催の吉野のシンポジウムです。タイトルは「桜とともに生きる~吉野・生命と再生の聖地~」です。すこし早く着きましたので、後援の吉野町の北岡町長さんにご挨拶、そして映像作家の保山耕一(ほざん・こういち)さん、フリーライターの増田隆さんにもご挨拶できました。

毎日新聞の記者の塩路佳子さんにも紹介されたり、ドローン撮影をされた旧知の住田幸一さんにも会うことができました。また奈良県の関係者の方にもお会いできました。700人以上入るホールは1000人以上の事前申し込みがあったとのことで開会前に満員になりました。司会は社会学者の岩淵亜希子さん、そして劇作家であり俳優の大正まろん/小栗一紅さん。

冒頭、保山耕一さんの素晴らしい吉野の映像が映し出される中、岡本彰夫先生の「吉野は日本の床の間、修験道1300年、利他(人のために)、山野、高い精神性」といったメッセージが朗読されました。そして4人の山伏によるほら貝はホールに響いて迫力がありました。吉野の若き如意輪寺副住職と櫻本坊住職の率直なお話は飾り気がなくとてもよくわかるお話でした。

そして、保山耕一さんのすばらしい映像映し出されました。ふたつのお寺、さらに金峯山寺の蔵王権現や桜の木々の映像、ふたつのお寺の奥様やお嬢様のインタビュー、吉野の山の各季節のさまざまな表情が時間を忘れて、息もつかせず聴衆を堪能させました。私も吉野のすばらしさ、奈良のすばらしさに魅了されました。

桜、生命の輪廻、自然と人間、吉野のすばらしい自然、人の営み、生命の貴重さ、若い子供の死。亡くなった人によって教えられたこと。残されたふすまの大きな書。桜の木の意味。如意輪観音像、蔵王権現像。神や仏。1000年以上の山での修行…。



増田隆さん編『桜とともに生きる』。題字は巽伯舟氏

休憩の後、増田さんの司会で岡本彰夫前春日大社権宮司、如意輪寺副住職と櫻本坊住職、映像作家の保山耕一さんの座談会がありました。とてもすべてをうまく再現できません。ともかくもそれぞれの方のお話は、吉野をめぐる興味深いお話でした。増田さんの川上村に伝わる「後南朝」の朝拝式など研究発表は、はじめて聞くことでした。

3時間を越すすばらしいシンポジウムでした。帰りがけ、出口あたりで、ご案内した首都圏在住の知り合いのご夫妻や友人らにもたいへんな人数の中お会いすることができました。それぞれに素晴らしかったと感想をいただきました。

そしていただいた分厚いプログラムはそれぞれの出演者のメッセージ、亡き息子さんの書、撮影のくわしい様子、このシンポジウムにいたるまでのお話など62ページにおよぶ大作です。ゆっくりと見せていただきたい思います。また保山さんからDVD映像のお土産もいただきました。これも1時間以上の大作です。楽しみに拝見したいと思います。

今回のシンポジウムは首都圏の人々に対する観光来客へのシンポジウムでしたが、奈良県においてもぜひ近いうちにこの映像の上映を中心としたシンポジウムを行ってほしいと思います。何よりも、奈良県民が奈良の良さ、素晴らしさを知らないと、他からの人を呼ぼうということにならないと思うからです。ぜひ、奈良県内での映像の上映会など開催していただきたいと思います。ともあれ関係者の皆様、お世話様でした。ありがとうございました。


この62ページもの「分厚いプログラム」(タイトルは『桜とともに生きる』)、何とか読みたいものだと思っていた。それがふとしたご厚意から入手することができた。土曜日(6/25)にクラブツーリズム奈良旅行センター(近鉄奈良駅ビル5階)で開催された「入門!南朝・後南朝とその史跡」という講座(まほろばソムリエのヤマトロジー講座・講師は前川光正さん)で、この冊子を編纂された増田隆さんとお目にかかり、帰り際にこの冊子を頂戴したのだ。なんという僥倖!

早速帰宅して読みふけったことは申すまでもない。岡本彰夫氏の巻頭言をはじめ、保山耕一氏や岩渕亜希子氏などの素晴らしい文章がぎっしり詰まっている。中でも目を引いたのが、増田隆さんの「後南朝紀行~朝拝式を伝え続ける山峡の里~」という約20ページに及ぶレポートだ。シンポジウムで増田さんは「奥大和というワードの一環で後南朝については10分ほど触れさせていただきました」(増田さんのFacebook)と書かれていたが、これをたった10分とはもったいない!


私はちょうど7月6日(水)に「南朝と後南朝」というタイトルの川上村民向け入門講座(今回で8回目のシリーズ講座)をする予定で、御朝拝式の歴史を調べていたところだったので、これは貴重な資料だ。増田さんはこれを仕上げるために、4人の筋目衆を呼ばれてインタビューまでされていた。私の話はごく初歩的な話だが、村民に村の歴史を語るのに、そこを間違うわけにはいかない(筋目衆も聞きに来られる)。このレポートは、出所を明示して有り難く使わせていただくことにした。全80分のうち50分を後南朝の話に当てるつもりだ。

私も後南朝には関心があるが、敗者の歴史なので、とにかく文献が少ない。増田さんはよくここまで深く追求され、またゆかりの地を訪ねられたものだ(労作『桜とともに生きる』は、ぜひネットで公開していただきたい)。

このシンポジウム、今度は奈良県内で開催していただきたいものである。増田隆さん、ご関係者の皆さん、ありがとうございました!

コメント (2)
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