tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ケンミンSHOWで見せつけられた 奈良県民の「自虐思考」

2019年08月25日 | 奈良にこだわる
本年(2019年)8月22日(木)、午後9時からの「秘密のケンミンSHOW」(読売テレビ)を見た。番組のHPに「鹿と大仏だけじゃない!奈良の日本一自慢をたっぷり発表!」(コーナーのタイトル)とあったので興味を持ったのだ。

私のFacebookでも《今夜9時からの「秘密のケンミンSHOW」では「鹿と大仏だけじゃない!奈良の日本一自慢をたっぷり発表!」があります、ぜひご覧ください!》と呼びかけ、134人の「いいね!」をいただいた。何しろ過去のこの番組(2015.5.28)では「奈良は、鹿と大仏がなくなったら何もない」という大阪府民などの発言を紹介して、奈良を散々に虚仮(こけ)にしていたからである。



今回は「奈良の日本一自慢」とあったので期待して視聴したが、前回よりもっとひどい番組内容だったので、ガッカリした。しかもコーナーのタイトルが一夜のうちに「秘密のNARA 今、私たちが奈良に出来る事」に変更されていた。

前回は主に他府県民の発言を取り上げていたが、今回は地元住民(奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺やホテル日航奈良の屋上ビアガーデンなど、概ね奈良市民)に取材して、その地元愛が全く感じられないコメントをタレ流していたのである。手元のメモに従って番組を振り返る(見逃した方は、オンエアから1週間以内なら番組HPから視聴できる)。



まずは前回放送(2015.5.28)のシーンが登場。大阪の熟年女性の「奈良は大仏さんと鹿ぐらいでしょ 何も無い」、中年男性2人組の「何もないっスよ 奈良」という発言を紹介。そのあとのナレーションは、テロップ付きで「鹿と大仏だけじゃない 知られざる奈良の真の魅力に迫る! 今、私たちが奈良に出来る事 秘密のNARA」。



まずは大和西大寺駅前の奈良ファミリー前で、老夫婦(奈良県民)にインタビュー。奈良の自慢を問うと、夫は「ええとこも無し うまいもん無し いや本当本当 これホンマ うまいもん無いねん 大阪へ行かなアカン ほんで見る所は京都」。これを聞いた奥さんは呆然。次にホテル日航奈良の屋上ビアガーデン。30歳代とおぼしき女性グループ。奈良の自慢を聞かれて「聞かないでって感じかな ありすぎて」とは言ったものの、具体名は出ず。しかしこの回答は悪くない。

奈良市の旧市街地(ヘアサロン「LINUS」の看板が見えるので東城戸町あたりか)。奈良の生き字引といわれる92歳の男性。奈良の自慢を聞かれて「ない ない ない 僕知らんわ奈良の自慢 奈良で生まれた人はあんなん(法隆寺)行かしません 遠いもん」。私は思わず「どこが生き字引やねん!」とテレビに突っ込んでしまった。



大和西大寺駅付近で20歳代女性「何にも無い」。ホテル日航屋上で30歳代男性「ホンマに何も無い」。ここでナレーション「奈良応援企画なのに、とんでもなくネガティブ!?」。西大寺駅前で30歳代女性2人組「本当に思いつかない」。再びホテル日航奈良の屋上で、「都道府県魅力度ランキング2018」で大阪府(7位)を押さえて奈良県が6位という数字を示すと30歳代の女性は「遊びに行くのも大体大阪やし 大阪は空港あったり 新幹線停まったり 奈良無いじゃないですか」「魅力度が(大阪より)高くて申し訳ない」。

このほか靴下、貝ボタン、墨、割り箸、茶筅、金魚が全国一、京大合格者数1位、東大合格者数2位などのデータを示したあと、西大和学園へ。東大志望者と京大志望者に歴史クイズを出したところ、見事正解。



スタジオで加藤雅也(奈良高校から横浜国立大学卒)が「私も同じように(奈良の自慢はないと)言うてましたわ。奈良の観光大使になって見直すと、確かにありますが。控えめっていうことすら認識していない、それが奈良の会話の仕方。(東大・京大は)他府県から来ている人(高校生)もいるんじゃないですか?」。



これには須田亜香里(名古屋市出身でSKE48のメンバー)がすかさず「加藤さん、自信持ってください!」と激励するシーンも。加藤は「自信は持っているけど主張しないんでしょうね」。演歌歌手の三山ひろし(高知県)は「コンサートでよく橿原市にお邪魔しますが、いつもいただく5個くらいのきな粉のだんごがめちゃくちゃ美味しい」とフォロー。これはだんご庄のだんごのことだろう。ここはぜひ「だんご庄」の名前を出してほしかった。

もとスピードスケート選手の清水宏保(北海道出身)は、「奈良には控えめだけどやわらかく自己主張の強い人が多い。村田諒太くん(ボクサー)とか野村忠宏くん(柔道家)とか」。最後に加藤は「暇だったら、とりあえず奈良に!」で締め。



こうして振り返ってみると、西大寺東町と東城戸町の2人のご老人が最悪だった。よく「見るとこない、うまいもんない」という人がいるが、これは単に無知なだけ。誰が「生き字引」などと言ったのだろう。



twitter上で「インタビューで奈良自慢をしたのに、カットされた」とつぶやいている人がいた。おそらく当初の「奈良の日本一自慢をたっぷり発表」という編集意図が、「見るとこない、うまいもんない」というコメントを拾った段階で方針を大転換したのだろう、おそらく数字(視聴率)を稼ぐために。

私は冒頭に書いたようにオンエア当日の朝、Facebookで番組を告知し、134人もの「いいね!」をいただいた。このうちのほとんどの人は番組を見て、大いに落胆されたに違いない、誠に申し訳ないことだ。

もちろん番組ディレクターが悪いのだが、テレビに向かって平気で地元を貶(おとし)める発言をする県民は、もっと悪い。「シビックプライド」のカケラもない。すべからく奈良県民は、そろそろ「自虐思考」からの脱出を図ってはどうか。

※1.8月25日(日)午前9時00分追記
私のFacebookに知人のKTさんから、こんなコメントをいただきました。
娘(20代)の職場に電話がかかってきて、30分ほど奈良の自慢話をしたと聞いていたので興味深く観たのですが、ガッカリというよりも笑ってしまいました。娘も何も反映されていないと怒っていました。古代から連綿と続く自然や歴史が身近にあることや清酒発祥のこととかも言ったらしいんですけど(即座にそれを言えたのはエライと褒めました^^;)。鉄田さんの書かれているように、「見るとこない、うまいもんない」というコメントを拾った段階で方針を転換した臭いですね(笑)。

※2.8月26日(月)午前5時30分追記
私のFacebookに知人のYKさんから、こんなコメントをいただきました。
この番組、以前問い合わせいただいた際に「ちゃんとお答えしますので、真面目に取り上げていただけるのなら」と言うと、なしのつぶてでした。そういう番組なので、どの地域を取り上げても面白おかしくということでしょう。番組内でコメントしているのは、俗に奈良府民といわれる方か、制作者の仕込みかでしょうね。この番組、奈良に限ったことでは無いと思います。

※3.8月26日(月)午前5時30分追記
私のFacebookに知人のJTさんから、こんなコメントをいただきました。
滋賀の人も「琵琶湖以外、何もない」と言うと思いますよ。奈良と滋賀はその立ち位置が他の県とは違うんです。京都・大阪という超・個性的な街が隣にあるから。僕は埼玉出身ですが、埼玉の魅力は?と聞かれたら、「○○以外何もない」の「○○」すら思い浮かばないかも。そして、テレビを作っているのは首都圏の人。首都圏から見ると京都・奈良は特別の場所。その「特別の場所」の人が、自分の住む地域を「何もない」と思ってるそのギャップが、作り手にとっては面白かったのでしょう。こういう番組を作るなら、「生まれも育ちも奈良の人」と「奈良に引っ越してきた人」とを出せば良かったと思います。後者であれば、吉野山の桜や明日香村や、四季折々の奈良の風景を語れたかもしれませんね。
コメント (17)
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