久々に「吉川亭」(奈良市花芝町17)を訪ねた(2023.4.20)。ここは若い頃(昭和50年代後半)によく通った。知人から、まだ営業していると聞き、ハンバーグが懐かしくなって訪ねた。1981年の創業から42年、ご店主も後期高齢者の75歳になっていた。
※トップ写真はハンバーグランチ、税込み@1,000円!

12時半頃に訪ねると満席だった。入り口で20分ほど立って待った

メニューは2つだけ、コーヒーもデザートもない

注文すると、まずサラダが出てきた。ダイコンは酢漬け。酸味のきいたドレッシングがうまい!
いつ行ってもよく流行っていた。他のお客さんと相席になったことも多いが、ほとんどが中年から初老の女性客だった。過去にはいろんなメニューがあったが、ご店主の高齢化の影響か、今は2つの定食メニューだけになっていた。

「あー忙し」と言いながら、ご店主が1人で切り盛りしていた。そりゃー大変だろう

ハンバーグもデミグラスソースも付け合わせの野菜も、とても美味しい!
過去には黒板に「子供とべらべら大声でしゃべる女 入店禁止」と書いて物議を醸したこともあったようだが、それはなくなり、かわりに〈「吉川亭」今昔物語〉と〈ごあいさつ〉という文章が店内に貼り出されていた。とても興味深く読んだので、末尾に全文を抜粋しておく。

レトロな店内、お金は小窓のところで支払う。壁に貼り紙があり、これは面白かった!
歳月が流れたとはいえ、絶品ハンバーグは健在だった。一見の女性が「コーヒー2つ」と言うと、ご主人は「ない!」のひと言、相変わらずぶっきらぼうな店主である。少しは緊張するが、これで税込み1,000円は激安だ。頑固おやじに耐えられる方は、ぜひお訪ねいただきたい。
※奈良グルメ図鑑は、こちら
(2023.5.1 追記)昨日(4/30)再訪し、もう1つのメニュー「チキンチーズカツ」のランチをいただきました。とろけるチーズがチキン(おそらく胸肉)の上に載っています。美味しかったのですが、チキンがとても大きく、危うく残しそうになりました。お客さんの女性2人が給仕をされていて、驚きました(もと従業員さんだった様子)。



奥(カツの下)に、ジャガイモだけのシンプルコロッケ!ホクホクしていて、これは旨い!
「吉川亭」今昔物語
昭和56年9月「吉川亭」オープン。奈良の老舗「菊水楼」のレストラン部で約12年修行し(たまに博打をしたりもしていた…)、独立。はじめ、お客は近所の人だけで、半年目で初めて予約が入る。
2年目 調理学校の男2人がコック修行にくる。どちらも鈍くさく、いつも怒鳴り散らしていた。1~2年でみんな飛び出していった…。店が雑誌や新聞に載りはじめ、3~4年目から忙しくなる。
母・保(やす)、姉・和佐子、妹・史子と家族で約15年営業する(ちなみに、夜は奈良女子大生のアルバイトが1人来ていた)。姉と妹は一身上の都合で引退、母は85歳まで店主の文句に耐え、皿洗い・サラダ盛り付けをした。
2005年? 店主1人残り、奈良女のアルバイトと共に、昼・夜を営業する。店主は…すぐにイライラし、頭に血が上る人間。客の大きな笑い声に耐え切れず、よく怒鳴り、黒板に「子供とべらべら大声でしゃべる女 入店禁止」と書いていたのは有名な話らしい…。
約10年間、その黒板を表に出す。しかし、黒板を見ただけでUターンする客が増え、世間で物議をかもし、店主は泣く泣く黒板を下げる。そして下げて15年がたった。
オープン5年目が一番忙しく、昼は1日40~50人が来店。行列もできる。男のコック2人と母、姉、奈良女のアルバイトで昼を営業する。ある時…店主がイライラし、男コックを怒鳴りつけると、昼1時頃、満席で忙しい時に関わらず、男は店を飛び出し…帰ってこなかった…。
この頃から奈良町にレストランができ、コックも1人減って料理の出るのが遅くなると、お客さんも行列に並んでくれなくなった。そして…だんだん暇になり、客は減り続け、このさんたんたる現状に、店主は少し反省する。以前以上に心を穏やかに(ということもないか…)。今は、奈良女の良きバイトたちと営業している。
ごあいさつ
長年「吉川亭」をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。19歳からコックになり、44年、63歳。修行時代・オープン当時以上に、料理を作る楽しさが増しました。忙しいときは以前以上に興奮しています(しかしそれが無くなったら終わりかと思う)。
現在、将棋好きの店主は「しょうぎ」を楽しんでいます。奈良女のバイトのみんなには、仕事だけではなく、楽しみや遊ぶことにも世話になり、63歳ともすればおじいさんのように年の離れた店主と、日々働いています。
今まで来た奈良女のバイトは、約30年で延べ300人(1年で約10人来るが、1日目で怒鳴られて辞めたり、ひと月で辞めたりして、結局2人ほどが残る)。今残っているバイト、1日で辞めたバイトを含め300人の奈良女生には感謝してもしきれません。
そして何より、これをお読みになっているお客様、ならびに店の出入り業者の方に感謝し、体が続く限り、店を続けてまいります。 2011年10月 店主
※トップ写真はハンバーグランチ、税込み@1,000円!

12時半頃に訪ねると満席だった。入り口で20分ほど立って待った

メニューは2つだけ、コーヒーもデザートもない

注文すると、まずサラダが出てきた。ダイコンは酢漬け。酸味のきいたドレッシングがうまい!
いつ行ってもよく流行っていた。他のお客さんと相席になったことも多いが、ほとんどが中年から初老の女性客だった。過去にはいろんなメニューがあったが、ご店主の高齢化の影響か、今は2つの定食メニューだけになっていた。

「あー忙し」と言いながら、ご店主が1人で切り盛りしていた。そりゃー大変だろう

ハンバーグもデミグラスソースも付け合わせの野菜も、とても美味しい!
過去には黒板に「子供とべらべら大声でしゃべる女 入店禁止」と書いて物議を醸したこともあったようだが、それはなくなり、かわりに〈「吉川亭」今昔物語〉と〈ごあいさつ〉という文章が店内に貼り出されていた。とても興味深く読んだので、末尾に全文を抜粋しておく。

レトロな店内、お金は小窓のところで支払う。壁に貼り紙があり、これは面白かった!
歳月が流れたとはいえ、絶品ハンバーグは健在だった。一見の女性が「コーヒー2つ」と言うと、ご主人は「ない!」のひと言、相変わらずぶっきらぼうな店主である。少しは緊張するが、これで税込み1,000円は激安だ。頑固おやじに耐えられる方は、ぜひお訪ねいただきたい。
※奈良グルメ図鑑は、こちら
(2023.5.1 追記)昨日(4/30)再訪し、もう1つのメニュー「チキンチーズカツ」のランチをいただきました。とろけるチーズがチキン(おそらく胸肉)の上に載っています。美味しかったのですが、チキンがとても大きく、危うく残しそうになりました。お客さんの女性2人が給仕をされていて、驚きました(もと従業員さんだった様子)。



奥(カツの下)に、ジャガイモだけのシンプルコロッケ!ホクホクしていて、これは旨い!
「吉川亭」今昔物語
昭和56年9月「吉川亭」オープン。奈良の老舗「菊水楼」のレストラン部で約12年修行し(たまに博打をしたりもしていた…)、独立。はじめ、お客は近所の人だけで、半年目で初めて予約が入る。
2年目 調理学校の男2人がコック修行にくる。どちらも鈍くさく、いつも怒鳴り散らしていた。1~2年でみんな飛び出していった…。店が雑誌や新聞に載りはじめ、3~4年目から忙しくなる。
母・保(やす)、姉・和佐子、妹・史子と家族で約15年営業する(ちなみに、夜は奈良女子大生のアルバイトが1人来ていた)。姉と妹は一身上の都合で引退、母は85歳まで店主の文句に耐え、皿洗い・サラダ盛り付けをした。
2005年? 店主1人残り、奈良女のアルバイトと共に、昼・夜を営業する。店主は…すぐにイライラし、頭に血が上る人間。客の大きな笑い声に耐え切れず、よく怒鳴り、黒板に「子供とべらべら大声でしゃべる女 入店禁止」と書いていたのは有名な話らしい…。
約10年間、その黒板を表に出す。しかし、黒板を見ただけでUターンする客が増え、世間で物議をかもし、店主は泣く泣く黒板を下げる。そして下げて15年がたった。
オープン5年目が一番忙しく、昼は1日40~50人が来店。行列もできる。男のコック2人と母、姉、奈良女のアルバイトで昼を営業する。ある時…店主がイライラし、男コックを怒鳴りつけると、昼1時頃、満席で忙しい時に関わらず、男は店を飛び出し…帰ってこなかった…。
この頃から奈良町にレストランができ、コックも1人減って料理の出るのが遅くなると、お客さんも行列に並んでくれなくなった。そして…だんだん暇になり、客は減り続け、このさんたんたる現状に、店主は少し反省する。以前以上に心を穏やかに(ということもないか…)。今は、奈良女の良きバイトたちと営業している。
ごあいさつ
長年「吉川亭」をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。19歳からコックになり、44年、63歳。修行時代・オープン当時以上に、料理を作る楽しさが増しました。忙しいときは以前以上に興奮しています(しかしそれが無くなったら終わりかと思う)。
現在、将棋好きの店主は「しょうぎ」を楽しんでいます。奈良女のバイトのみんなには、仕事だけではなく、楽しみや遊ぶことにも世話になり、63歳ともすればおじいさんのように年の離れた店主と、日々働いています。
今まで来た奈良女のバイトは、約30年で延べ300人(1年で約10人来るが、1日目で怒鳴られて辞めたり、ひと月で辞めたりして、結局2人ほどが残る)。今残っているバイト、1日で辞めたバイトを含め300人の奈良女生には感謝してもしきれません。
そして何より、これをお読みになっているお客様、ならびに店の出入り業者の方に感謝し、体が続く限り、店を続けてまいります。 2011年10月 店主
