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ご祭神は兄宇迦斯(えうかし)という宇賀神社(宇陀市菟田野)/毎日新聞「やまとの神さま」第64回

2023年11月20日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」連載している。先週(2023.11.16)掲載されたのは〈神武東征伝説の地/宇賀神社(宇陀市)〉、執筆されたのは、同会副理事長で宇陀市大宇陀在住の松浦文子さんだった。

ここは『古事記』の伝承で知られる。神武天皇に刃向かって命を落とした兄宇迦斯を「宇迦斯神(うかしのかみ)」として祭ったと言われている。『古事記』では兄宇迦斯は悪玉、弟宇迦斯(おとうかし)は善玉だが、地元では逆なのが興味深い。では、全文を紹介する。

宇賀神社(宇陀市)
宇賀神社のある宇陀市菟田野宇賀志(うたのうかし)は、神武東征の舞台となった「穿邑(うかちのむら)」だという伝承があります。

古事記によると、神倭伊波礼毘古神(かむやまといわれびこのみこと)(のちの神武天皇)は、地元の豪族である兄宇迦斯(えうかし)と弟宇迦斯(おとうかし)の兄弟に八咫烏(やたがらす)を送り、服従するように命じました。

弟は従いましたが、兄は従うと偽り、この地を守るため、神倭伊波礼毘古神を討つ計画を立てました。しかし、弟の密告で失敗し、自らがワナを仕掛けた「大殿(おおとの)」という建物で亡くなります。

現在も神社の近くに、大殿の読み方に似た「ヲドノ」という小字(こあざ)があります。兄が死んだ時に流れた血から「血原(ちはら)」と呼ばれる場所もあり、いずれも旧菟田野町観光協会の看板が立っています。

祭神は、この土地の神である宇迦斯神(うかしのかみ)ですが、住民は、地元を守ろうとした兄宇迦斯をたたえ、今でも大切に祭っているそうです。

本殿は春日造り(切り妻屋根で、棟と直角な面に入り口がある様式)で銅板葺(ぶ)き。手水舎(てみずや)の「子もうけ石」(陰陽石)は、夫婦でなでると、子宝が授かると伝わります。

10月第3日曜にある宇太水分(うだみくまり)神社(宇陀市)の「みくまり祭」には、子どもや太鼓を神輿(みこし)のように担ぐ「お太鼓台」が宇賀神社から繰り出します。(奈良まほろばソムリエの会副理事長 松浦文子)

宇賀神社の本殿=宇陀市菟田野宇賀志で

(住 所)宇陀市菟田野宇賀志1096
(祭 神)宇迦斯神(うかしのかみ)
(交 通)近鉄榛原駅から「菟田野・東吉野村役場」行きバス乗車、「宇賀志」下車。南へ徒歩約25分
(拝 観)境内自由
(駐車場)あり(無料)
(電 話)なし


コメント (2)
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