tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

「鹿男あをによし」第5話

2008年02月17日 | 鹿男あをによし
2/14(木)、「鹿男あをによし」第5話が放送された。当日の奈良新聞からストーリーを拾うと

《堀田(多部未華子)の活躍で剣道部が大阪女学館に勝った。道子(綾瀬はるか)や福原(佐々木蔵之介)も、予想外の結果に喜びを隠せない。小川(玉木宏)は、続く京都女学館にも勝とうと意欲を燃やす。しかし、学校創立から59連勝を誇る京都女学館の先鋒(せんぽう)を相手に、小川の学校は3人目まで負けてしまう。副将の雅代(藤井美菜)が何とか先鋒を破るが、けがのためにリタイア。どこかあきらめたような態度の小川に、堀田が活を入れる。張り詰めたような緊張感が漂う中、堀田は4人目まで勝ち進む》。

実はこの回、録画を失敗してしまい、私はドラマを見ていない。しかし同僚の話によると、堀田はこの後連戦の疲労を残しつつ、延長までもつれ込む。あげく堀田が見事勝利(=奈良女学館が大和杯で優勝)。翌日小川は、サンカク(大和杯の三角形プレート)を手にして、鹿に会いに行くが、「なんだこれは!これは目ではない」と言われてしまう…。

この回はほとんどが剣道シーンだったが、音楽やカメラワークが優れていて、同僚は「これまでで、一番面白かった」と言っていた。しかし残念ながら視聴率は振るわない。

私のブログにコメントを寄せてくれたsolianoさんの情報によれば、関東9.0%(同時間帯4位)、関西8.7%(同時間帯4位)だったそうだ。《前半のクライマックスではあったのですが、どうやらこのあたりで数字は落ち着く感じです。このまま推移すれば、放送回数短縮はないと言っていいでしょう》とのことで、ひとまずは安心なのだが。

ちょうどこの夜、JR奈良駅前の「なら100年会館」中ホールで「頑張れ奈良!ならを元気にするセミナー」(主催=同会館)が開かれた。この日の講師は西口廣宗氏(奈良商工会議所会頭)で、演題は「奈良県経済の現状と今後の進むべき道」だった。

講演の最後に野口百貨店(奈良市・東向北商店街)のご主人が質問に立った。ここは「鹿男…」の第1回で、主人公がパンツを買った店だ。おかげで翌日の黒板には、何者かに「パンツ3枚千円也」と書かれてしまう。なおこの商店街は、河瀬直美監督の「殯の森」にも登場する。

質問の主旨は「ドラマ『鹿男あをによし』のおかげで、毎日たくさんの観光客がお店に来てくれるようになり、驚いている。会議所などは、このドラマをもっと活用して、奈良の活性化に役立てるべきではないか」ということだった。西口会頭は「そういう声がたくさん出てくるようなら、対応を考えたい」と慎重に回答したが、確かに全国ネットのこのドラマを、地元はもっと応援し、活用もすべきだろう。

野口百貨店の店先にはドラマのポスターが貼ってあるが、奈良の街なかでこのポスターを見かけることは少ない。県下経済人が一堂に会した今年の「新年名刺交換会」(1/8 奈良商工会議所、県経営者協会、奈良経済同友会、県経済倶楽部、奈良商工会議所友好倶楽部主催)でも、このドラマの話題は出なかったようで、とても残念だ(「奈良検定」はこの会で提案されたもの)。

「鹿男…」にあやかったみやげ物も、鹿愛護会の勾玉(鹿角細工)が出ただけで、土産物店を冷やかしても、めぼしい物は見つからない。「鹿男…」は、映画化や漫画化の話もあるそうだから、このブームはドラマ終了後も続く可能性がある。何より、鹿はこれからも奈良のシンボルであり続けるのだ。

奈良の商売屋さんは、ここはひとつ大阪の商魂を見習って(大仏商法ならぬ)「あやかり商法」を取り入れては、いかがだろう。お洒落なガラスの勾玉、大和杯の三角プレート型文鎮、鹿角をデザインしたポッキー(小説では鹿の大好物とされている)、プレミアム鹿せんべい(野菜を練り込んだヘルシー・ディアフード)、食べて美味しい鹿せんべい(主人公が鹿せんべいを食べるシーンがある)など、ネタはたくさんあると思うのだが。

※参考:「鹿男あをによし」第4話(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/b29857ba7f343b02b63fe8ddc7f82b2f

※写真はロシアのトナカイではなく、奈良公園の鹿。大雪の日(2/9)に撮った。
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鳥一

2008年02月16日 | グルメガイド
2/14(木)、会社の先輩・Nさんから「鳥一(とりいち)に行こう」とお誘いをいただいた。私もかつては何度も通った店だが、ずいぶんとご無沙汰していた。

近鉄新大宮駅前にある人気の焼鳥屋だが、とても狭いので(キャパは14席ほど)、満席で諦めたことも1度や2度ではない。長年、女将さんが1人で鶏を焼いていたが、最近は親父さんや店員さんが焼いているとも聞いていた。

お世辞にもきれいな店とはいえないが、アルミ製の「酒たんぽ」で燗をつけてくれたり、ビールはサッポロの「赤い星」印(=開拓使のシンボル)のラガーだったりと、クラシックな雰囲気を残す。平城宮跡にも近いので、放送中のドラマ「鹿男あをによし」に登場しても良さそうなお店である。締めのラーメンは、すぐ近くの「天下一品」で食べられる。

お店に入ると、写真の可愛いお嬢さんが煙にまみれながら鶏を焼いていて、驚いた。笑顔の応対も感じが良い。「安くて美味しくてボリュームもあるが、愛想が悪い」というのがこの店の特徴だったが、変われば変わるものだ。これなら若い男性社員を連れてきても、喜ばれそうだ。

網の上に載っているのが「手羽」(5本=630円)で、ここの名物である。もちろん皮(3本=420円)も肝(3本=420円)も軟骨(2本=420円)も美味しい。たいていのメニューはタレと塩が選べる。お客はほとんどが常連さんで、店内はいつも和気あいあいとしている。この写真も、常連のN先輩の口利きで撮ることができた。
※手羽(これで1人前=630円。とても食べやすく調理してある)
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/76/74952304ddf46c9522afa7e613a6cfc9.jpg

私の口癖は「食べ物のうまいのは大阪だが、『焼鳥』と『お好み焼』では、奈良は大阪に負けない」。奈良の焼鳥のイチ押しが、この「鳥一」である。ぜひいちど足をお運びいただきたい。

※奈良市大宮町6丁目1-2 (近鉄新大宮駅前・啓林堂書店「新大宮店」の裏=南側)
℡ 0742-34-7057 17:00~
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同時進行!平城遷都1300年(10)

2008年02月13日 | 平城遷都1300年祭
昨日(2/12)、いよいよ平城遷都1300年祭の「実施基本計画(案)」が発表された。実施基本計画は過去にも発表されたことがあるが、今回のものは荒井知事に交代し、事業が見直されたことに伴う「修正計画」だ。奇しくも「同時進行…」シリーズ10回目で全体計画を紹介するめぐり合わせとなった。

柿本前知事時代には協会事業規模は350億円(うち200億円は民間寄付と入場料収入)で計画されていたが、現在は100億円(20億円は民間、80億円は県と奈良市が出捐)と下方修正されている。また名称も、これまでの「平城遷都1300年記念事業」が「…祭」に変更され、やっと呼びやすくなった。ざっと概要を紹介すると、

1.会期…平成22(2010)年 1月1日から12月31日
2.会場…平城宮跡(主会場)、奈良県内、関西等の各地
3.構成…平城宮跡事業、県内各地事業、関連広域事業、事前展開事業の4つ
4.参加者見込み…平城宮跡事業 約200~250万人(記念イベント全体 約1,200~1,300万人)

協会ホームページには《具体的な事業展開としては、平城宮跡の国営公園化と相まって、恒久・継続、全県・広域型に見直し、平城宮跡では、2010年秋の「平城遷都1300年記念祝典」開催のほか、基本的に無料・開放型で、往時の再現された施設活用を中心に、歴史文化を実体験できる展示や催事等を計画します。県内各地では、2010年の1年間を通して、国宝など“本物の魅力”に親しめる周遊型イベント等の展開を図ります。さらに、これらの事業に関連して、県内外の各地において、コンベンション、フォーラム、古京ゆかりの各地等との連携イベントなどの取り組みを進めます》とある。目玉は宮跡のパビリオン「平城京歴史館」で、平城京の造営や暮らしを映像や模型で学ぶという。
http://www.1300.jp/gaiyou/080212kgaiyo.html

新計画の詳細は上記ホームページをご参照いただきたいが、今朝(2/13)の奈良新聞の見出しを追うと《堅実型へ見直し 仮設施設は最低限に 大極殿活用も視野》《継続・全県型に期待の声》《早期具体化望む》《PR積極的に/交通手段は?/周辺地域と連携》、知事会見のタイトルは《主会場は無料/後に残る祭りごとに/赤字出さない》。これだけでも、全体の雰囲気を感じ取っていただけるだろう。

なお朝日新聞の見出しは《企業協賛金集まらず 事業費7割減に》《目玉のパビリオンどこに? 事業規模は? 国待ちであいまいさ 背景に国営公園化》《市町村、独自催しへの不満の声》と手厳しい。100億円の総事業費の内訳がはっきりしないこと、宮跡の整備計画が国抜きでは決められないこと、市町村は関連イベントの開催を求められても(助成金の有無が分からない状態では)動きがとれないことなどを指摘したものだ。同紙は山根一眞氏の《過去に学んで未来をどう構築するかという鮮烈な提案がなければ人々の関心を集めることはできない。今回発表の計画は総花的で、歴史の学習展といった印象だ》という辛口コメントも紹介している。

産経新聞は「視点」(奈良版2/13付)で、県政担当記者が《「急ごしらえ」の感がぬぐえない》、国の整備費負担が決まるのは《今年夏頃になるという。県や市町村の負担割合も現時点では未定。パビリオン2館も、単独施設か複合施設かを決めかねている》、《県民に詳しく説明できないような計画では、先行きに常に不安感がつきまとう》と記している。

極め付きは籔内佐斗司氏(彫刻家・東京芸大教授)制作のマスコットキャラクターで、同記者は《公募することもなく、大手広告代理店を通じて選んだデザイナー候補者の中なかから、すでに昨年3月には1人に絞り込んでいたという》、《デザイン料や著作権料は500万円》、《なぜ公募もなく約1年も前にキャラクターを内定し、かつ公表しなかったのか。愛称募集でも盛り上がりに欠けることが懸念される》とする。確かにこのキャラは、籔内氏の十八番である「童子」(=異界からやってくる不思議な子供)シリーズの延長線上にあるもので、彼に依頼すればこういうキャラになることは予想されたはずだ。
※籔内佐斗司の世界
http://uwamuki.com/j/indexJ.html#Anchor-AMUSEMENT-49575

「まだ服を着ているだけマシ」ともいえるだろうが、このキャラには寺院関係者からも強い反発の声があるという(角を生やしているのは鬼=四天王などの足元にいる邪鬼だから)。これが地元の芳岡ひでき氏の愛らしいデザインだったら良かったのに、とタメ息をつくのは私だけだろうか。
※芳岡ひできのファンタジーアイランド
http://www.socks.co.jp/

なお各紙には、地元の知人たちもコメントを寄せていた。《2010年をスタートラインに考えてもらっているのはうれしい。ただ、ビジネスとして客を誘致するには、わくわくするようなイベントの核が見当たらない》(奈良ロイヤルホテル 八坂豊社長:奈良新聞)。

《宿泊しながら奈良を学ぶ講座を作ってみてはどうか。それが人気を呼び、新たな奈良ファンを産むだろう。大極殿など復元建物だけでなく、滞在型イベントも継続させて、経済活性化へつなげてほしい》(奈良県立大学 安村克己教授:朝日新聞)。

《奈良の歴史遺産に頼りすぎている。もっと地域文化のすばらしさも伝え、観光客に地域へ入り込んでもらわないと真の経済効果につながらないのではないか。(中略)地域の人が主体となってイベントをする。県がそれらをしっかりサポートする形が望ましい》(地域活性局 藤丸正明代表:朝日新聞)

下方修正計画であれ、国の指示待ちであれ、開催2年前というギリギリのタイミングで実施計画案が出てきたことで、私は少し安心した。奈良時代の貴族の衣裳で会見に現れた荒井知事は「平成22年をピークに終わるのではなく、県の観光をグレードアップできる事業を目指している」と語った。市役所南の県営プールを撤去し、高級ホテルを誘致する意向も表明している。

思えば、1997年(平成9年)に「平城遷都1300年を考える奈良の会」が開かれ、この会の提言で99年(11年)「平城遷都1300年記念2010年委員会」が設立された。それから8年が経過して、やっとここまでたどり着いたのだ。異論はあるだろうし私も不満があるが、地元が地域活性化の目玉と期待するイベントであることは間違いがない。県民の知恵と力を合わせて、この事業を成功に導こうではないか。

※参考:同時進行!平城遷都1300年(9)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4185b8badd29211ae064ac447f2568ea

※写真は平城宮跡・朱雀門(05.4.24撮影)。記念事業協会ホームページのトップ画像をマネてみた。 
コメント (23)
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増田悦佐著『大阪経済 大復活』

2008年02月12日 | ブック・レビュー
増田悦佐(ますだ・えつすけ)氏は経済評論家で建設・住宅・不動産アナリスト、プリヴェ企業投資の常務執行役員でもある。

この2月7日(木)~8日(金)に開催された第46回関西財界セミナーでは第五分科会(テーマ:新たなコンバージェンス[=融合]型産業の創出)に参加し、「東京圏のマネではない関西圏独自の成長戦略が必要」と提言された。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/200802/news0208.html#02081

そんな増田氏を囲む勉強会が奈良市内で開かれた。私のブログのコメント欄でおなじみの南都さん(=証券アナリスト)にお世話いただき、大雪に見舞われた2/9(土)の午後5時、氏を含む総勢7人が江戸川ならまち店(奈良市下御門町)に集まった。事前にご用意いただいた資料は財界セミナーでも使われた本格的なものだったが、氏にはこれを1時間でご説明いただき、あとは食事しながらの質疑応答となった。

この勉強会に参加されなかったブログ読者の皆さんはぜひ、増田悦佐著『大阪経済大復活』(PHP研究所刊)をお読みいただきたいと思う。氏の主張はすべて、この著書に凝縮されている。

版元の解説には《30年間の停滞と地盤沈下を超えて、大阪地域経済、関西地方経済は飛躍的な成長期を迎えようとしている。本書では、その情況を詳しく分析するとともに、それをさらに加速させるための7つの具体的提言を大胆に行なう》とある。
http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-69340-8

以下、同書および勉強会(および関西財界セミナー第5分科会)で氏が提言された「大阪(関西)経済完全復活」のための7項目をかいつまんで紹介する。

1.新幹線の大阪駅乗り入れと、京阪神通勤鉄道の利便性(ネットワーク)改善を。
東京圏に比べ関西圏では、鉄道を利用しようとすると、とても不便(よそ者に不親切)。乗換駅の総合駅化で魅力的な街が生まれる。

2.大阪市中心部(梅田、中之島、心斎橋、難波)に4つの都心型キャンパスを。
大学は人口吸引力の高い機関。大阪市の大学生比率(居住人口に占める割合)は、全国の主要都市(55都市)中、下から4番目。

3.人口減少・少子高齢化対策にもなる保育所・幼稚園の大増設を。
大阪府の、小さな子供を持った女性の就労比率は全国でも最下位レベル。

4.大阪商人の小売力を生かしたデパート集客特区の制定を。
大阪の小売施設投資は、圧倒的な過小投資だった。都心部商業施設の活性化は、大きな意義がある。

5.町工場集積地帯の老朽工場建て替え、耐震補強、道路拡幅を支援する基金の創設を。
工場誘致に巨額の資金を投じるより、既存の町工場を安全で環境の良い就労環境に変える努力に資金投入を。

6.大阪湾岸地域(臨海埋め立て地帯)を東アジアの物流ハブに。
東アジア諸国との貿易の拡大に牽引されて大阪港のコンテナ荷扱い量が順調に増加。大阪港周辺は画期的に成長する。

7.関西発のロボットに海洋堂おたくフィギュアの感性を。
関西はおたく文化発祥の地。大阪のロボット技術に海洋堂(本社=門真市)の特性を取り入れよ。

私が目からウロコだったのは、「工場等制限法」のこと。この法律により1964年から、大阪湾岸沿いの地域で、大規模工場と大学キャンパスの新増設が全面禁止されていたそうだ(東京圏も、59年から禁止されていた)。この法律のせいで、大阪経済は過去30年間地盤沈下を続けていた。それが02年夏に撤廃されたことから設備投資が画期的に拡大し、それが雇用の拡大などに波及しているという。
※参考:なか見!検索ができるAmazonの同書サイト
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%A4%A7%E5%BE%A9%E6%B4%BB-%E5%A2%97%E7%94%B0-%E6%82%A6%E4%BD%90/dp/4569693407

それにしても私たち関西人には、元気が湧いてくるとても有り難いお話であった。

大雪の中、ご足労いただいた増田氏と、お世話いただいた南都さん、そして参加いただいた皆さんには、厚くお礼申し上げます。有り難うございました。

※参考:福嶋聡氏の的確な書評が読めるサイト
http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/crmaf72.htm

※写真は、大阪地下鉄中央線・朝潮橋駅付近。07.10.10撮影。
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「鹿男あをによし」第4話

2008年02月11日 | 鹿男あをによし
2/7(木)に、第4話が放送された。当日の読売新聞からストーリーを拾うと、

《堀田(多部未華子)が突然、剣道部に入部した。父親が剣道の道場を経営する堀田は、かなりの実力者だったが、小川(玉木宏)は素直に歓迎できない。そんな折、小川と道子(綾瀬はるか)は、大和杯のルールは開催校が決められると知る。2人は慌てて参加校に勝ち抜き戦へのルール変更を連絡。小川は大和杯で優勝する可能性が出てきたことを、シカに報告しに行く》

道子は、奈良公園でシカと話をしている小川の様子を見て不安になり、明日香村見物に誘う。高松塚古墳や黒塚古墳(天理市)などを回り、道子はリチャード(児玉清)が30年も「邪馬台国=大和説」を立証しようと取り組んでいることを小川に話すのだが、これらは伏線である。

2人がお酒を飲む居酒屋は、奈良市もちいどのセンター街の「蔵」だし、最終電車に乗り遅れて泊まる旅館は、奈良町の「静観荘」(もと遊郭で、外国人客に人気の宿)なので、奈良市民としてはとても興味が持てた。なお、2人が自転車で訪ねた明日香村の丘陵地(飛鳥周遊道沿い)は、私の勤務先が草木を育てている植樹地である。

番組終了10分前になって剣道の試合が始まり、ここから盛り上がるのだが、果たしてこのシーンまで視聴者がついてきてくれたのか、不安だった。視聴率は関東で8.0%、関西で10.0%だったそうだが、関東の視聴者に飛鳥めぐりは退屈だったのかも知れない。

ちょうど今、私は『鴨川ホルモー』を借りて読んでいるのだが、実際に「ホルモー」が出てくるのは、小説のまん中あたりである。だから「これがテレビなら、視聴者は待ちきれないだろうな」とも思う。

かつて「岸辺のアルバム」で、ヒロインの主婦(八千草薫)の不倫相手(竹脇無我)が、最初は声だけしか出ないので「早く本人を登場させろ」という視聴者からの要望があったが、脚本の山田太一は頑としてそれをはねのけた(だから視聴率は14%とそれほど高くなかったが、番組終了後、評判が高まった)というエピソードを思い出す。小説の読者と違って、テレビの視聴者はせっかちなのだ。

さて冒頭の写真は、春日大社の境内にある「夫婦大国社」で偶然見つけたものだ。神主さんの話では、こちらは夫婦円満と芸能の神様だそうで、玉木宏&綾瀬はるかのシャモジの横には、堂本剛、岡村隆史、山田花子の名前が見えるが、これらはすべて直筆なのだそうだ。玉木と綾瀬のシャモジの日付が1日ズレているが、これもご愛敬だろう。西川ヘレンや菅原文太のシャモジなどもあり、天井近くに掲げられた蛇の絵は、石坂浩二が描いて奉納したものだった。

意外なところに、芸能人の信仰を集めるお社があるものだと驚いた。この際は、大国主命(おおくにぬしのみこと)のお力で、ぜひ番組の視聴率を上げていただきたいとお祈りするばかりだ。

※「鹿男あをによし」第3話(ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/d1d4ea6b2fe63e7e35f65eddd9537b81
コメント (12)
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