鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

天災のこと(我が家の場合)

2009年08月11日 15時56分00秒 | 随筆或いはエッセイ

台風9号の大雨による急激な増水がもたらした甚大な被害が報じられている。そして駿河湾の地震だ。報道番組のインタビュー場面では、一様に生れて初めてのことだったという方が多い。いきなりの大災難を受けた方々は本当に気の毒だ。

私の住む地は災害の少ないところだが、先日は瞬間的突風によりゴルフ場のコンクリート・ポールが何本も折れた。ゴルフ場からすれば、後から住宅街が迫ってきて仕方なく立てた防護ネット支柱なのだろう。グリーンのネットが住宅地へ玉が飛び込むのを防いでいるというより、ゴルフ場を主張しているように見える巨大なネットだ。住む側からすれば、せっかくの山の手なのに景観をだいなしにする支柱とネット。それにしても、よくも住宅地の方に折れずにゴルフ場側に折れたものだと思う。風向きが幸いしたのか、最悪のケースを想定しての支えのワイヤーが工夫されていたのかどちらだろう。ネットのポールを背にした家の住人は肝を冷やしただろうと思う。

我が家はそこからかなり近いのだが、丁度その時間に私は在宅していて雨風の様子を観ていた。白い雨が降る角度を刻々変えて荒れ狂った。竜巻を匂わす報道もあったが、次の日の新聞には『ダウンバーストが発生か?』と書いてあった。植木鉢が倒れ、手造りの老朽化していたフェンスの一部が壊れた。風の収まった直後に外出したのだが、木が倒れてカーポートの屋根が潰れていたり青葉の付いた枝先が道路のそこかしこに落ちていたりするのが見られた。

ところが徐々に被害の詳細はわかってくるのだ。近所でもかなりテレビのアンテナが倒れた。ウチはたいしたことなかったなと思っていたら、小さな小さな庭に瓦が落ちていたのだ。割れているのが二枚分と、割れずに地面に突き刺さっていたのが一枚。はしごを掛けて屋根に上ってみて驚いた。瓦がめくれあがっていたのだ。ずれただけのものも入れたら凡そ30枚。その内で割れたのが三枚。雨漏りしなかったのが不思議だ。

こんな時の予備なのか家の裏に瓦が丁度三枚なぜか置いてあるのを思い出し、持って上った。和瓦で釘用の取り付け穴が一つあいているのに、ひとつも釘で止めていない。葺き職人の手抜きなのではなかろうか。置いてあるだけなのである。瓦の下に敷く土も全体には無く、くぼみの部分だけだ。瓦は四角の内の二箇所に切り込みがあって、それが組み合ってずりおちない仕組みになっている。当然ながら、一番下の瓦はちゃんと固定されていた。土の下は防水シートが張ってある。釘を使っていないのだから雨漏りはしないわけだ。そんな具合が見ただけで解り、知識も経験もないけれどゴムハンマーだけで屋根は元通りに直すことができた。

瓦の葺き方を検索してみた。当然一枚一枚を下地板に釘なりネジなりで止めるように書いてあった。やはり手抜きだったのではないかと建設会社に電話をしてみたら、会社は無くなっていた。ただ、引き継いだ不動産会社があるというので、そこに電話したのだが二日続けて休みだった。早めのお盆休みなのかも知れなかったが、しばらくほったらかしにしていて本日先ほど電話したらカスタマーセンターという又違うところを教えられ、ようやく話をしてもらうことができた。

結論から言えば、阪神大震災以前の和瓦の葺き方は、端っこ以外は土を置いて上から瓦を押し付けてあるだけだという。並び格好を整えるだけで釘打ちはしないのが当たり前だったのだという。あの地震があってからというもの、桟に一枚一枚を引っかけ釘も打つという工法になったらしい。引っ越してきてすぐに大震災があったので、もっと震源に近かったら瓦は落ちていた筈。

雪が今までの冬に何回か積もることがあって、雪止めがないから雪が滑り落ちて植木なんかに被害があるということも言ってみた。その質問にも滋賀県なら雪止め瓦を使用するけれど・・・などとすらすら淀みなく受け答えするのだ。しかも隙がない。同じような苦情をこなしてきているのだろう。さすがだ。土が少ないのではないか・・というのは言わなかった。少ないほど重量的負担がないわけだし、見た目は綺麗に葺かれているのだから、それは葺き職人のすぐれた腕だと言われそうだったし、まぁそう思っておこう。

インターネットで雪止め金具や瓦止め用のネジが売られている。自分でひま暇にやれば、できないことはない。そこで悩む。今回の突風はこの地域でなら数十年に一度のものであって、もう無いと考えてもよいかどうか。地球温暖化で、この地はもう雪が降らないかも知れない。活断層は近くにあるし、震度6弱だと今のままなら瓦は落ちそうだ。それ以上なら家自体が危ない。住んでいる自分らもそうだが、周りの家に被害が及ぶのも困る。

ふところにゆとりがあるなら、屋根の瓦を下ろして、トタン屋根のような軽量化を図るのが良い。ついでにソーラーパネルを敷きつめたら最高なのだが実現不可能なことは考えないようにしよう。材料は全部でも数万円ですむから、コツコツ雪止め金具を付けながら、瓦を一枚ずつ剥がしては雨漏り防止のシーリング剤を付けてネジ止めするか。それとも、地震はもうない、雪も降らない、突風も吹かないと願いつつ祈ったりもしながらお気楽にいくか思案しているのである。

コメント (4)
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