透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

武士の一分 映画と原作

2006-12-12 | A 読書日記


アルコールなブログ。

「武士の一分」の原作の『盲目剣谺返し』は文春文庫に収録されている(写真)。確か前にも書いたが、文春文庫の背表紙はピンク、藤沢周平のイメージではないのであまり手してこなかった。久しぶりに、ピンクの背表紙を購入。今日の昼休みに読んだ。映画はかなり原作に忠実につくられていることが分かったが、もちろん異なるところもある。今夜はその辺について書いてみよう。

映画では桃井かおりがキムタク(新之丞)のオバちゃん役で登場するが、原作ではふたつ年上のいとこになっている。キムタクに好意を寄せていて結婚を望んでいたが、別の男と結婚して今では子どもがふたりいる。

彼女の台詞を私なりに「ちょっと、うちのダンナが染川町で加世ちゃんが男と一緒のところを見かけたらしいんだけど、しんちゃん、大丈夫なの?」

映画でもキムタクは視力を失ってからも木剣を振ってトレーニングしているが、原作はすごい。飛来する虫を気配で察知して木剣で打ち落とす!!ことができるようになるのだから。

加世の不倫相手はキムタクの上司、近習組頭の島村籐弥という男だった。女癖が悪くてどうしようもない男だが、頭脳明晰、剣の腕もたつという設定。原作では歳が三十四となっているが映画では、中年のオッサンだった(何歳の設定かは不明)。

さて、スケベなオッサン島村との果し合い。原作ではキムタクが島村の頚の血脈を一撃で断つが、映画では腕に重症を負わせるだけ、翌日島村は自害して果てる。

そして、こらえきれずに涙したラストシーン、具体的には書かないでおく。映画は山田監督のオリジナルな演出かと思ったが、原作と細部は異なるがほぼ同じだった。
広島は呉の地ビールが効いて来た・・・。この辺で、オシマイ。