昨日(9日)「硫黄島からの手紙」が封切りされました。「007 カジノ・ロワイヤル」も公開中、そして「トゥモロー・ワールド」も。
山田洋次監督の映画は「寅さん」でもそうですが、「情」とか「絆」をうまく描いていますね。この「武士の一分」もやはりテーマは「情」そして「絆」。
藤沢周平の小説によく登場する海坂藩。藩主の食事の毒見役のキムタク、新之丞が貝の毒にあたって失明してしまいます。それまでの幸せな生活が一変。再び幸せな生活を取り戻すことはできるのか・・・。物語はシンプルですが、これから観る方のために紹介はしないでおきます。
笹野高史さんが実に渋くていいです。キムタクと美しい妻役の檀れい、ふたりの演技を映画での役柄同様にうまくまとめています。
以前S君(知人、友人には頭文字がSの人が何人もいます)から借りた藤沢周平の短篇を朗読したCDでも笹野さんはいい味を出していました。
新之丞が妻の密通を知るのは別の方法で、住まいのセットにはもっと生活のにおいが欲しかった、果し合いのシーンにはもっと迫力が欲しかった、美しい鶴岡の自然が見たかった、時代劇に特有のなんと表現すればいいのか、「深み」かな、それが欲しかった・・・。
挙げていけばいろいろ出てきますが、そのことはこの際置いておいて、なかなかの映画だったと思います。キムタクは時代劇でもキムタク、そのことに拍手です。特に失明してからの彼の目、キムタクファンにはたまらないでしょうね。
藤沢周平の作品は新潮文庫でかなり読みましたが、この映画の原作となった短篇は未読です。文春文庫『隠し剣秋風抄』に収録されている短篇、さっそく読んでみようと思います。
今回はいつもの建築(A)、本(B)ではなくて映画(C)の話題でした。