○ 松本城へ続く大名町通り(061217)
保存か取り壊しかで話題になった旧第一勧銀ビルのある大名町、街路樹のシナノキはすっかり葉を落としている(写真)。葉が生い茂っていた時には気づかなかったが、ビルの屋上や外壁の看板が目に付く。やはり街路樹の緑は街並みの百難を隠すと実感。
松本城を「世界遺産」に登録しようという動きがあるという。先日もそのことに関する記事が新聞に載っていた。ユネスコに申請するためには越えなくてはならないハードルがいくつかあるということだが、松本城周辺の復景・修景もおそらくその一つ。松本城単体でOK、ということにはならないだろう。
復景・修景、それは5年10年というような短い期間で達成するのは無理だ。20年、30年、それ以上という長いスパンで実践しなくてはならない。
「街並みはみんなのもの、それは美しくなければならない」という意識が地元住民にも設計者にも必要だ。松本にも蔵を修復し、新し建築も蔵のデザインを引用して全体としてまとまりのある街並みをつくっているところもある。松本城周辺の環境整備(復景・修景)も地道に努力していくしかないだろう。
○ 旧第一勧銀ビルの内観(061217)
ところで旧第一勧銀ビルはレストランとして延命されることになった。そして勧銀ビルの後方に8階建てのホテルが建設される。再来年の春、どんな雰囲気をこの通りに提供することになるだろう。
2008年8月8日午後8時
北京オリンピック開幕の日時、中国では「8」が大変縁起のいい数字とされていて、このように決まったと以前雑誌で読みました。
オリンピック施設の話題をときどき目にします。「建築技術」という雑誌にも載っていました(06年12月号)。メインスタジアムはユニークな外観から「鳥の巣」の愛称で呼ばれています(以前ブログに書きました)。
そして、水泳会場の愛称が「ウォーターキューブ」。両方の施設に日本のメーカーが開発したフッ素樹脂フィルムが大量に使用されるとのことです。
http://www.agc.co.jp/news/2006/1004.html
このようなデザイン、大変ユニークだとは思いますが、どうも「美しい」とは思えません。オリンピック期間中だけの仮設的な施設ならいいのでしょうが、その後長年使用するとなると、それに相応しいデザインかどうか、この地域に特異な景観を創り出しそうで気になります・・・。
オリンピック施設というと、1964年の東京オリンピックに備えて造られた代々木体育館を想起します。斬新で大胆なデザインだと思いますが、良好な都市景観の形成に大いに寄与していると思います。やはり丹下さんの造形力は天才的だった、そう思います。丹下さんが常に都市との関係を考えていたということはよく指摘されていますが、あの体育館を見るとそう実感します。
「ウォーターキューブ(水立方)」や「鳥の巣」に限らず最近の建築はなぜか自己完結的なものが多いと思います。内藤さんの表現を借りれば「世界中どこにでも降り立つ宇宙船のような建築」。
そろそろこのような均質な(と表現すべきか画一的なとすべきか)建築を卒業しなければ・・・。確かに雑誌などで見る最近の建築デザインは斬新で個性的ではありますが、単に奇を衒っただけのものが多いように思います。
地域性、場所性、都市などの文脈上に建築をどう位置付けるか。是非とも考えなくてはならないテーマですが、難しくて簡単に書くことはできません。じっくり論考しなくては・・・。ま、論文を書くわけではありませんから、気楽にいつか書いてもいいとも思いますが。
機会があれば、と先送りしておきます。