代官山ヒルサイドテラスの魅力を解くカギは公的な(街に開かれた)空間と私的な空間の巧みな構成、相互の建築・空間を関係付ける「リンケージ」という概念、それによって創出されるグループフォーム(群造形)としての全体のまとまりということでした。機会があれば代官山を再訪してじっくり観察してから魅力の分析をしたいと思います。
安藤さんの表参道ヒルズがこのような考え方によって設計されていたら・・・。大きな建築ではなくていくつかに分節して、お互いをリンケージさせて全体としてまとまりのある空間として構成する・・・。そうすれば全く異なる雰囲気のヒルズが出現したでしょう、きっと。
表参道はさながら現代建築の見本街といった様相を呈しています。個々の建築は創意に満ちているかも知れませんが、美しくて魅力的な街並み形成に貢献しているといえるかどうか・・・。あの通りが魅力的なのはケヤキ並木に因るところが大きいと思います。もし「緑の回廊」が無かったら、あれほど人が集まる街になっていたかどうか。どうも答えは否、私にはそう思えます。
代官山ヒルサイドテラスはあの辺一体の地主だった朝倉家の「良質な生活環境の創出」という願いを槇さんが30年以上もかけてじっくり実現してきた街、極めて稀で幸運な事例ということなのかも知れません。
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新潮社から新しい雑誌が創刊されました。
この創刊号に川上弘美さんの小説が載ってますよ、と友人に教えてもらいました。