■ 建築トランプ、25枚目(たぶん)の今回はこの人、妹島和世さん。この人は今や世界的に有名な建築家だ。イラストの妹島さんが頭に載せているのはニューヨークの「ニューミュージアム」。今年1月の「新建築」の表紙を飾った作品。手に持っているのはうさぎ形の椅子「ラビット」。「新建築」を見るとこの椅子は「ニューミュージアム」のカフェにも置かれている。
存在感の希薄な建築を透明な建築と表現する、と理解している。かつては伊東さんも透明な建築を指向していたが、「せんだいメディアテーク」以降方向転換してしまった。透明な建築は妹島に任せたと言ったとか・・・。新建築の表紙の写真を見ると確かに周りの建築と比べると存在感に乏しい。
20年、30年、長い時の流れに耐えうる建築だろうか。陽炎のようにいつの間にか消えてしまいそうだ。妹島さんは好んで壁に鋼板を使う。鋼板は素地で使うことには無理がある。塗装することが前提となる材料だ。素地のままで使うことができることが建築材料としての基本的な条件だと思うから、鋼板を壁材として使うことには抵抗がある。
しばらく前に紹介された集合住宅で妹島さんは外装材としてレンガを使っていた。レンガは前から使いたいと思っていたとのコメントを読んだが、それ程積極的に使う気はないようだ。
妹島さんは少なくとも建築に関しては「すっぴんの美学」にあまり関心が無いようだ。