■ 昨日(22日)、NHKの「ラジオビタミン」を少し聴いた。番組で「映画評論家」と「映画エッセイスト」ってどう違うのですか? という問いにゲストが評論家は映画を観て泣きません、エッセイストは泣きます、と答えていた。これはなかなかの答えだ。
「風景」と「光景」の違いは? 「特有」と「固有」の違いは? 前から気になっているのだが、明解に説明できないでいる。先のような上手い説明ができないものだろうか・・・。
■ 『古都』川端康成/新潮文庫を読み終えた。
川端康成の作品を再読したことも今年の読書の成果。『山の音』 『千羽鶴』 『みずうみ』 『日も月も』 『伊豆の踊子』そして『古都』。以前『雪国』と『眠れる美女』も再読したから、川端作品はもういいか。来年もひとりの作家の作品を集中的に読んでみようかな・・・。
さて『古都』。
主人公の千重子は庭のもみじの古木の幹に咲く二株のすみれを見て、**「上のすみれと下のすみれとは、会うことがあるのかしら。おたがいに知っているのかしら。」と、思ってみたりする。** 少し離れて咲くすみれの花は、違う環境で別々に育ったふたごの姉妹・千重子と苗子との出会い、心の交流を描くこの物語を暗示するもの。
川端康成は小説に日本の美しい自然を織り込んだが、この作品も同様で、京都の美しい自然や名所が織り込まれている。この小説は雪降る静かな夜に読むのがいい。北山杉の美林に雪が降る光景を思い浮かべながら・・・。