透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

朝日村の馬頭観世音

2012-04-13 | B 石神・石仏



 馬頭観世音の基礎知識を手元の資料(『安曇野 道祖の神と石神様たち』西川久寿男/穂高神社)を参考に。

馬頭観世音には煩悩や悪心を断つ功徳がある。地獄、餓鬼、修羅、天上など六道のひとつ、畜生を教化する観音。観音には珍しく怒りの姿で、頭上に馬を置く像と人身馬頭の像がある。時代が下るに従って簡単になり、宝冠をつけるかわりに馬の頭を置く像が多くなる。

「馬頭」という名前から次第に馬の神様として崇められるようになり、馬が死ぬと供養のために文字塔が建てられた。馬頭観世音は次第に本来の性格から離れ、素朴な民間信仰へと変わっていった。

上の写真は朝日村西洗馬(長野県)にある馬頭観世音の文字塔で、数えたら36基あった。はじめからこのように1ヶ所にまとめて祀られていたわけではもちろんない。何年か前、農道整備に伴いあちこちから集められたと記憶する。

明治時代のものが多いが江戸末期のものも何基かある。



嘉永7年(1854年)

安政2年(1855年)、同3年(1856年)

文久1年(1861年)

天保10年(1839年)

この地に暮らした遠い昔の人びとのこころを想う・・・。