透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

民家に学ぶ

2013-02-10 | A あれこれ


民家 昔の記録 198003

■ 高知県梼原。坂本龍馬の脱藩ルート上にある山間(やまあい)の集落を訪ねたのは1980年の3月下旬のことだった。そこに茅葺の民家が点在していることを下の本で知り(当時はインターネットなど無かったから、情報を得ることは今のように簡単ではなかった)、春休みに出かけたのだった。あれからもう30年以上も経つ。


『カラー日本の民家』 山と渓谷社に紹介されている梼原の民家

*****

隈研吾は「人は建築を大きくしようとするが、自然は建築を小さくしようとする」と指摘し、インフラに頼らない小さな建築を試みている。自然に逆らわない負ける建築も同様の概念だろう。

黒川紀章は建築の内でも外でもない中間領域・中間体という概念や生物のように新陳代謝する建築という考え方、そうメタボリズムという概念も示した。さらにもともとは仏教思想である「共生」という概念も提示した。

これらの概念にぴったり当て嵌まるのが民家だ。更に加えて気候風土が形を決めるというデザインの必然性。このことも恣意的なデザインを施す現代建築の設計者は学ばなければならないだろう・・・。

温故知新ということばを思い起こそう。


 


東京駅

2013-02-10 | D 新聞を読んで



■ かつて東京駅を取り壊して新しい駅ビルをつくる、という計画があったことはよく知られている。このことを伝える新聞記事の切抜きが手元にある(19770421付読売新聞朝刊)。今なら記事をスキャンしてパソコン保存だろうが、昔はスクラップという方法しかなかった。

記事となった日の前日(0420)、当時の東京都知事、美濃部さんは外人記者クラブの昼食会に招かれて、丸の内再開発構想についてスピーチした。


東京駅 撮影日 130113(33会旅行)

東京駅を含めた丸の内ビジネス街の大改造プランに対して、外人記者から「東京駅の赤レンガは震災などをくぐり抜けてきた東京の名所、とりこわしてしまうのはどんなものか」と訊かれ、美濃部さんは「東京駅は駅としては非常にまずい。もう少し近代化したいというのが国鉄総裁の意見で、私も賛成だ。しかし、非常に惜しい建物なので明治村に再生するなど、なんらかの形で保存したい」と答えた。

更に記者から「明治村には明治はいっぱいあるが、東京にはひとつしかない」と追求されて美濃部さんはタジタジだったと記事にある。

ここまでは過去ログ(加筆)。


 時は流れて東京駅は建設当初の姿に復元されることになった。

実に重厚で存在感のある駅舎。後方のガラスの高層ビルとは対照的だ。ガラスには歴史を記憶する「容量」などないが、レンガ、レンガタイルにはそれがある。東京丸の内は辛うじて歴史の記憶を繋いだ・・・。