■ 名コラムニストが遺した日本人へのメッセージ、「成長から成熟へ」と舵をきることの提言。昨日(2日)長野駅前の書店で買い求め、帰りの電車で読んだ。
**人はなぜ福袋を買うのか。答えは簡単で、「買うものがないから」です。「ほしいものが見つからないから」です。でも、「何かが買いたいから」なんですね。**(18頁)
**8・15で成長社会が始まり、3・11で成長社会から成熟社会への転換が始まるという、この二つの日付は、ぼくにとってもこの国にとっても大きな転換点になりました。
が、3・11を契機とするこの国の再生は、まだ遅々として進まない。(中略)政治家の人たちも、憲法をいじったり原発の再稼働をはかったりするヒマがあったら、経済大国や軍事大国は米さんや中さんにまかせて、新しい日本の国づくりに取り組んでほしいのもです。**(210、211頁)
**昔の中国の皇帝は、画家や陶芸家の品等を、専門のスタッフと相談してきめたらしい。で、その一等を〝一品〟といった。(中略)で、以下、二等・三等・・・・・ではなく、二品・三品・・・・・という呼び方で格付けしたそうです。が、中国の面白いところは、その審査のモノサシでは測れないが、個性的で優れていると思われるものは、「絶品」とか「別品」として認めた、というんですね。(中略)
別品。
いいなあ。経済力にせよ軍事力にせよ、日本は一位とか二位とかを争う野暮な国じゃなくていい。「別品」の国でありたいと思うのです。**(211、212頁)
広告を通じて観る消費社会の変遷と終焉、そして成熟社会への展望。
新年早々 良い本に出合った。さて、読みかけの『空海の風景』司馬遼太郎/中公文庫に戻ろう。