透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

松本市梓川倭の岩岡神社の狛犬

2015-04-12 | C 狛犬

 同じ食材でも人によってできる料理が違うのと同様に、同じ狛犬を取り上げても人によって捉え方やまとめ方、紹介する内容やその方法が違っていて何ら不思議はない。

例えば茶筒のような単純な円筒形でも真横から見れば長方形に見えるし、真上から見れば円に見える。狛犬のような多くの情報を持った対象であれば、人によっていろんな見方があって当然だろう。こんな見方があるのか、という新たな視点が設定できるのかどうか・・・。

狛犬ファンはかなりの数に上るだろうから、見尽くされていると言えなくもないのかもしれない。通り一遍の紹介でももちろん興味深いし、有用な情報であることには違いないが、やはりオリジナルな視点を持ちたいものだと思う。

狛犬の広大な世界に迷い込むに際して、いや、どんな世界であれ、この辺りを意識というか、心得ておくべきだろう。

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松本市梓川倭のある岩岡神社を訪ねた。ここにも狛犬が棲息しているという情報を事前に得ていた。神社を狛犬の棲息地と捉え、まずはその環境といえば大袈裟だが、様子を見ることにする。



全景。梓川の左岸、桜咲く堤防道路の近く、畑や田圃が広がるのどかな場所だ。



参道の桜がちょうど見ごろだった。と書いて気になるのは鳥居の手前のこのアプローチを参道としてよいかどうかということ。このあたりもいずれスッキリ!しなくてはならない。そう情けないことにこんなことも分からないのだ。

鳥居、これもいくつものタイプがあるようだが、今のところは単に鳥居としておこう。境内の案内板によるとこの鋼製の鳥居(このようなタイプを両部鳥居というらしい)は昭和58年12月に建設されている。

ここの狛犬は自然豊かな恵まれた環境に棲息しているではないか。



鳥居をくぐるとこんな様子で正面に拝殿があり、その手前で1対の狛犬がガードしていた。まだ狛犬観察は始めない。棲息環境、狛犬のガード対象の観察・理解が先だ。


拝殿



拝殿の左側にまわって本殿を確認した。鞘堂に納められていて姿をはっきり見ることはできなかった。



拝殿の格子戸から本殿の正面が辛うじて見えた。狛犬ファンは御祭神をどのように知るのだろう・・・。偶々拝殿にこの神社を紹介するチラシが貼られていたので健御名方命と瀬織津姫命の2柱だと知ることができた。

神様の名前は難しい、読めない・・・。ビジュアルに姿をイメージできないからつまらない、などと書いてはいけない。狛犬が守護する神様の名前はきちんと押さえておかないと。





拝殿に向かって左後方に朱の屋根の末社があった(現代用語、もとい神社用語の基礎知識を身に付けなければならないが、俄か仕込で、摂社と末社の区別がつかない。拝殿に貼ってあったチラシに末社と紹介されていたのでそれに因った)。ちなみにこれらの末社は右から荒神社、戸隠社、農神社、八王子社だという。



注連縄つきの大きな黒い石、これは何?説明板によると昭和24年の7月、近傍を流れる梓川の大洪水の際、河川の砂利の中から出現した大石で、地元岩岡地区の安住と繁栄を祈願する「神石」として祀られているそうだ。


社務所

このような神社を守護する狛犬を見てみる。

 

りっぱな台座に据えられている。氏子の皆さんの狛犬に寄せる期待の大きさが窺える。コマ、しっかり守ってくれよ!台座に刻まれた文字により昭和11年3月に建立されたことと、寄進者が東京の小松 茂という方だということが分かった。

 

さて、肝心の狛犬観察だが・・・。観察ポイントがよく分からない。火の見櫓ではチェックポイントを自分なりに考えてリストアップした。同様のことを狛犬でもすればよいだろう。体全体の様子、顔の表情、体の各部位のデザイン・・・。少し時間をかけて考えよう。

 

顔にズームイン。ディンプルな眼が特徴的。

 

親子の微笑ましい姿(上の狛犬の子どもの頭は分かりにくいかもしれない。左下で紐を銜えている。下の子どもは上を向いて親の顔を見ている)

 

像を正面から見るとプレス機にかけたよう。

 

後ろ姿 拝殿から見るとこのような位置関係になる。左が獅子、右が狛犬(獅子・狛犬をまとめて狛犬と称すことが一般的らしいが、区別するために獅子と狛犬とする)。

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拝殿の屋根上の狛犬にも注目(上段:向かって右側は阿形、下段:向かって左側は吽形)