■ 新国立競技場の技術提案書が14日、公表された。JSCのウェブサイトで閲覧できる。
ふたつの応募案のうち、A案は隈研吾氏+梓設計+大成建設のチーム、B案は伊東豊雄氏+日本設計+竹中工務店+清水建設+大林組のチームだと報じられている。
外観はB案、内観(屋根の構成)はA案が良いと私は思う。両案ミックスしたデザインなら日本の伝統的な木の文化の現代的な表現としてベストだと思うがどうだろう・・・。
A案の外観は軒庇の水平ラインが印象的で、その下面は木の縦格子による構成だ。提案書では**「和」を想起させる、縦格子の「繰り返し」のデザイン**という小見出しがつけられ、水平方向にも高さ方向にも展開した「繰り返し」により、日本らしさをより強調すると説明されている。提案書に載せられているのは法隆寺の五重塔の見上げ写真。A案の外観デザインはそこから想を得たようだ。
私も提案書の説明と同様、法隆寺の五重塔の上方への屋根の繰り返し、垂木の繰り返しに美を感じて撮影した。そう、繰り返しの美学。
提案書には屋根についても木の集成材と鉄骨トラスを組み合わせたシンプルな架構の繰り返しにより、伝統的な「和」を表現しているという説明がある。
隈さんのチームは繰り返しの美学を意識したデザインをしている。
法隆寺五重塔
伊東さんのチームが提案したB案はどうだろう。
高さ約19mのカラマツ集成材の柱72本が白磁の器(スタジアム)を支えるというデザインコンセプト。
諏訪大社下社春宮の御柱
柱は祝祭空間を象徴するとして、三内丸山遺跡や真脇遺跡、諏訪大社の御柱などを例示している。競技場という聖域を表すシンボルとしての木柱。72本という数は二十四節気、七十二候の72ということのようだ。この外観デザインはわくわくするような昂揚感が得られるように思う。オリンピックの舞台として相応しい。比してA案の外観はおとなしい。ここまで優等生的な回答をしなくてもよいのでは。
提案書にはこの72本の柱について「繰り返し」という言葉を用いた説明は見つからなかったが、屋根の架構については、シンプルな形のトラスを同じリズムで美しく連ね という説明がある。これは繰り返しの美学の説明に他ならない。
両案とも繰り返しの美学な計画なのだ。
年内に採用案を決めることになっている。A案、B案 どちらが選ばれるだろう。
追記 A案が選出された。