■ 現在公開中のスティーブン・スピルバーグ監督の最新作「ペンタゴン・ペーパーズ」を観た。
アメリカ政府、歴代大統領が30年にわたりひた隠しにしてきた国防総省のベトナム戦争に関する最高機密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)の漏洩。その全貌の掲載をめぐるワシントン・ポスト社主(メリル・ストリープ)の葛藤と編集主幹(トム・ハンクス)の奮闘。
夫の死後、主婦から新聞社のオーナーになった(なってしまった)女性。初めは頼りなかったが、次第に権力に立ち向かう頼もしい女性に変わっていく。その変貌ぶりをメリル・ストリープが見事に演じている。
国家機密を掲載すれば全員が逮捕される。政府との戦いに敗れればワシントン・ポストは潰れる。周囲の役員らの掲載取りやめの説得に彼女は答える。「もう父の会社じゃない 夫の会社でもない 私の会社よ」 自分の会社のことは自分が決める!という強い意志表明。そして編集主幹が印刷の準備ができている工場に電話で印刷開始の指示「RUN!」。このシーンには感動、涙が出た。
信濃毎日新聞0408付朝刊2面
アメリカの政情を憂うスピルバーグ監督の報道機関への強烈な応援メッセージ。