透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1804

2018-05-03 | A ブックレビュー



■ 4月に読み終えた本は『流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則』エイドリアン・べジャン&J・ペダー・ゼイン/紀伊國屋書店、この1冊のみ。

ヒトの体中に行きわたっている血管も肺の気道も河川の流域の様子も、みんなこの本の表紙の大木の形によく似ている。

なぜか? 

**有限大の流動系が時の流れのなかで存続する(生きる)ためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなくてはならない**(11頁) 要するに動きのある万物はより流れを良くするために進化するということだが、著者はこのように定義されるコンストラクタル法則で上記したことの理由を説明できるという。しかも人間の組織・社会も流動系(生物・無生物関係なく動くものはすべて流動系)として捉えることができて、この法則が当て嵌まるという! 会社組織の階層構造と河川流域の構造、なるほど確かに両者の模式図はよく似ている。

一見全く関係ないと思われるものどうしが、実は共通する法則で説明でき、つながっているということを説いた本。このような大局的なものの見方には魅せられる。

本書には次のような、なるほどと思わせるエピソードが紹介されている。少し長くなるが引用する。**一九六〇年代のルーマニアで、店頭から肉が消え始めたころ、獣医だった私の父は、ある解決策を思いついた。鶏の雛を孵すことにしたのだ。父は、卵の内部を電球で照らし出して胚が成長しているかどうかを確認できる、検卵用の箱を持っていた。当時一〇代だった私は、日々目の前で繰り広げられる血管系の成長の場面を驚異と畏敬の念を持って見つめた。卵の殻に内側に血管が伸び、やがてびっしりと広がっていった。私は、そのとき見えていたデザインが、学校で描いていた色塗りの地図の河川流域のデザインと同じであることにも気がついた。(後略)**(121頁)

こういう人だから、生物から社会システムに至るまで、あらゆる流動系は流れの抵抗を低減するように、つまり流れをより良くするように進化するという共通のパターン、コンストラクタル法則を導き出すことができたのだろう。

大変興味深い内容だった。

人や物、情報の流れも速くなっている・・・。


 


986 松本市梓川倭の火の見櫓

2018-05-03 | A 火の見櫓っておもしろい


986 松本市梓川倭(野々宮神社の近く)4脚〇〇型 撮影日180502

 火の見櫓の近くから全形を撮影するのは好きではない。周囲の建物の垂直線が倒れて写るから。垂直線は垂直に写したい。そのためには少し遠くから撮らなければならないが、今回は電線が邪魔だったりしてあまりいいポイントが見つからなかった。まあ、電柱・電線が邪魔なのはいつものこと。火の見櫓は大半が道路沿いに立っているから電柱・電線があって当たり前。この写真にも電線が写っている。

辻に堂々と立っている火の見櫓だが、この辺りは今まで来たことがなく、見るのは初めて。網羅的に長野県内の火の見櫓を見て回っているわけではないから、近場にもまだ見ていない火の見櫓があるだろう。


見張り台にスピーカーを設置すると、かなり目立つ。できれば見張り台の下にして欲しい(などと設置者の都合も考えず勝手に思っている)。見張り台の床材はどうやら平鋼ではなく丸鋼のようだ。井形に組んだ下地の4隅、床材を取り付ける方向はやはりこうなる。

消火ホースを掛けるバーが見張り台の床の高さに、ホースを引き上げる滑車が床面の下にある。この位置でどうやって作業をするのだろう・・・。



踊り場には双盤が取り付けてある。梯子はもう少し上まで伸ばして欲しかった。これでは踊り場に移動するのが大変だ。梯子を見ると踊り場や見張り台に移動しやすいかどうかいつも気になる。



脚部 今までに何回も書いてきたから今回は省略する。