透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「科学の光と影」

2018-05-18 | A あれこれ

 齢のせいだとは認めたくないが、午前3時半ころ目が覚める。それから5時まで、ボリュームを絞ってNHKのラジオ深夜便を聞く。3時台の「にっぽんの歌こころの歌」ではおじさんにとって、もちろんおばさんにも懐かしい昭和の曲がかかるし、4時台の「明日へのことば」はためになるから、夜10時から朝5時までノンストップ睡眠ができないことを嘆いてはいけない。

16日の「明日へのことば」で物理学者の池内 了さんの「科学の光と影」が放送された。池内さんは湯川秀樹に憧れて京大で物理学を専攻、素粒子物理学とは対極の宇宙物理学を研究したという。科学と社会との関係について発言してこられたが、1995年に起きた出来事、阪神淡路大震災・地下鉄サリン事件・高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故がそのきっかけと番組で語っておられた。

科学には表と裏の二面性、つまり良い面と悪い面があるということを認識すべきだと説いておられた。科学は人間の能力を拡大する半面、人間固有の能力を退化させてもいるということだ。以前カーナビは人間の空間認識能力を退化させるという話をやはりラジオで聞いた。

池内さんはもうそろそろ便利さや効率性の追求から安全性を高める、ということを考えるべきだということも語っておられた。大地震で津波が襲う、液状化が懸念される海岸を埋め立てて高層マンションを建てて大丈夫?と安全性を懸念しておられた。

「必要は発明の母」という言葉があるけれど、現代は「発明は必要の母」になっている。必要であったかのように認識させられてしまってはいないか。この指摘を聞いて、リニア新幹線のことが浮かんだ。リニア新幹線はこの典型的な実例だろう。過去ログ 時速500kmで走行して本当に大丈夫? 100%安全な技術なんて無いのだから・・・。

「明日へのことば」は早朝の教養講座だ。