透明タペストリー

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老後に備える

2019-06-19 | A あれこれ

 「公的年金は当てにしない。自分の老後に備えて貯蓄する」このような考え方がある。今読んでいる『日本の年金』駒村康平/岩波新書にこのことに関係する記述がある。

「賦課方式か民営化積立方式か」この見出しで書かれた次のくだり。

**高齢化によって、世代間送りの賦課方式では、高齢者を支えるための現役世代の負担が増加し、公的年金制度の持続は不可能ではないかという不安が広がっている。このため、賦課方式の公的年金(以下、賦課方式)を廃止し、みずからの老後資金を自分で準備し、老後にそれを取り崩す仕組みである民営化積立方式(以下、積立方式)に切り替えるべきという意見も出ている。**(160頁)

この本ではこのことについて分かりやすい説明がなされている。

20歳から59歳まで貯蓄をして、60歳から平均寿命の83歳までその資産(貯蓄)を取り崩して生活するとすると、40年間分の貯蓄で、自分の老後の23年間の生活を支えることになる。現役のときと同じ生活レベルをするとして、物価変動などを考慮しないで単純化して考えれば、23/40=0.58、現役1年あたり、老後の0.58年分の生活費を準備しなくてはならない。



18日の信濃毎日新聞に「働く世代の負担 日本が最も重く」という見出しの記事が載っていた。記事には65歳以上の人口に対する25~64歳の人口の比率(これを潜在扶養率ということを知った)が世界最低の1.8を記録したとある。国連経済社会局が発表したとのこと。これをいろんな要素を排除してごく単純に考えると、1.8人で1人を支えるということだろう。これは1人で0.56人を支えると同じこと。

1:0.58と1:0.56 自分で自分の老後に備える積立方式と世代間扶助する賦課方式もこの値を比べる限りそれ程変わらないということではないだろうか、違うかな・・・。


**公的年金を確実に給付できる年齢や水準を明確にし、それを補完する私的年金を支援するような、公私年金の最適な組み合わせの政策論に入るべきであろう。**(242頁)なんだか当たり前のような結論。

年金を当てにし、その一方で可能な限り老後に備えて貯蓄するということなんだろうな。