■ 『日本の年金』駒村康平/岩波新書を読む。
**積立金の運用収入と取り崩しを考慮しない完全賦課方式で、かつ報酬比例方式の年金財政を想定してみたい。**(110頁)
この想定から、平均年金額×年金受給者数=平均賃金額×保険料率×現役労働者数という実に明快な式が示されている。左辺は支出、右辺は収入ともいえる。
この単純な式からはいくつものことが分かる。例えば現在の少子高齢化が何をもたらすか。少子高齢化は年金受給者数が増加していて、現役労働者数が減少している、と読み替えることができるが、このことが年金に関して何を意味するのか。
少子高齢化であってもこの数式を保つためにはどうすればよいか。これは実に簡単な数学的な問題。答えとして左辺の平均年金額を下げる。また、支給開始年齢を遅くするということも左辺、年金受給者数の操作とわかる。右辺の保険料率を上げるということも直ちに浮かぶ。右辺の現役労働者数の操作、これを制度的に実施することは困難でこの数が減少している。
昨日(17日)の新聞に載っていた週刊誌の広告には次のような記事の見出しがある。
**突然浮上した「在職老齢年金の廃止」で何が変わるのか**
**衆院選が終わったら「68歳支給開始」を発表する**(週間ポスト)
**日経新聞は、年下の妻を持つ夫が繰り下げると、年間39万円の加給年金がパーになり、年金額にかかる税金もアップすると書く**(週刊現代)
年金に無関心ではいられない。5年に1度行うことになっている、年金の財政検証。2009年、2014年の6月初旬に結果が公表されている。今年はまだ公表されていない。いつ公表するかも示されていない、と新聞(中日新聞だったかな)に出ていた。