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■ 『「松本清張」で読む昭和史』原 武史(NHK出版新書・2019)を一気読みした。松本清張の作品から社会状況を読み解く、という試み。
本書で取り上げている作品は第一章「点と線」、第二章「砂の器」、第三章「日本の黒い霧」、第四章「昭和史発掘」、それから第五章「神々の乱心」。
「神々の乱心」は清張の未完の遺作で、第五章で著者の原さんは、結末のシナリオを予想している。天皇制、宮中の闇を(暗示的に)扱ったこの作品を読んだときは内容そのものが信じがたく、すんなり受け入れることができなかった。だから、原さんが示した結末予想も奇想としか思えなかった。
類書は今までも読んできたが、これからも松本清張の作品はもちろん、作品論も読み続けたい。