透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

― 火の見櫓のタイポロジー(再掲)

2019-12-25 | A 火の見櫓っておもしろい

火の見櫓の分類については拙著『あ、火の見櫓!』でも書いた。その原稿の元となった記事を再掲する。この記事をもう少し使ってもよかったな、と思う。


 火の見櫓は十基十色。長野県内を中心にこれまで500基以上の火の見櫓を見てきての実感だ。千差万別の火の見櫓を分類したいという欲求も当然生まれる。タイポロジー、分類学は学問の出発点だ。

無数のヴァリエーションがあるように思われる火の見櫓だが、適切な視点を据えればいくつかのタイプに分類できる。そうすることで、火の見櫓の総体を見通すことができるだろう。

火の見櫓分類上の有効な視点として既に柱の数を挙げている。柱1本の火の見柱、柱2本の火の見梯子、柱3本の火の見櫓、柱4本の火の見櫓。これ以上の多柱櫓は理論的には存在し得ても実際には存在しないのではないか、そう思っていた。だが、茨城に柱6本の火の見櫓が存在することが分かった。

では他に有効な分類上の視点、火の見櫓の特徴を捉える視点はないだろうか・・・。柱の数ともうひとつ別の視点を設定することで火の見櫓を明確に分類することができるのではないか。

植物の分類に関する知識のない小学生でも、たとえば花の色と花の特徴(具体的には花びらの数)というふたつの視点によって、いろんな花を分類することができるだろう。もちろん判断に迷うような花もあるし、この視点では分類できない花もあることも分かり、花のデザインの多様性に気が付くだろう。



こんなイメージだ。これは火の見櫓分類ひき出し。小さなひき出しが縦横、2次元のマトリックス状に並んでいる。
1段目の列は柱が1本、火の見柱を入れる引き出しが並ぶ。2段目は柱が2本、火の見梯子のひき出しの列。以下3段目が3本、次が4本。

5段目はそれ以上の柱の火の見櫓。一番下、6段目はその他の火の見櫓、つまり柱の数という視点では分類できない火の見櫓を入れるひき出しの列。

上から3段目のひき出しにはどれも3本柱の火の見櫓(の写真)が入っている。その1番目(左端)と2番目のひき出しの火の見櫓の違いは・・・。どんな視点が有効だろう。今年はこの横軸に据えるべき分類上有効な視点を見つけたい。


20150205


― 火の見櫓の見直しを!(再掲)

2019-12-25 | A 火の見櫓っておもしろい

 今日(5日)勤め帰りに車のラジオで聞いた各地の話題。


広報すずか2014年10月20日号より見出しを転載しました。

鈴鹿市では津波の避難訓練で防災行政無線のスピーカーの音が聞こえにくいという住民がいるために、寺の梵鐘を叩いて知らせる訓練をしたそうだ。 

寺の住職が梵鐘を叩くのかと思いきや、消防団員が叩くのだそうだ。住職に大きな音が出る叩き方の指導を受けたという。消防団員が叩くのなら火の見櫓の半鐘でしょ!と放送を聞いていて思った。

以前も災害時に半鐘を叩くことが情報伝達に有効なことを、海岸沿いの自治体が再認識したという内容の新聞記事を読んだ(という曖昧な記憶がある)。また、東日本大震災で死を覚悟して半鐘を叩きつづけた年配の消防団員がいたことを伝える記事も読んだ。

防災行政無線のスピーカーって停電時に放送することができるんだろうか。台風などで停電した時に避難指示を伝えることができないかもしれない。そんな時、半鐘は有効だろう。そう、半鐘の見直しがなされて、叩き方も決めて避難指示などに叩くことにすれば、火の見櫓も撤去されずに済むことになるかもしれない。

確か、鈴鹿市では避難指示をする時の半鐘の叩き方は、まだ決まっておらず検討中だということもラジオで聞いた(と思う、これまた記憶が曖昧だが・・・)。

どうも防災行政無線のスピーカーで聞く放送は間接的で、一体誰がどこで放送しているのか分かりにくい。それに対して半鐘の音は直接的で、誰が叩いているのかも分かる。 誰が知らせているのか分かることは大事ではなかろうか。

半鐘、火の見櫓の機能の見直しを!


20141105