透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

1228 安曇野市三郷小倉の火の見櫓

2019-12-15 | A 火の見櫓っておもしろい


1228 安曇野市三郷小倉 東小倉地区公民館 3脚66型 撮影日191215

 建築デザインに関して「遠景の丹下 近景の村野」ということばがある。丹下健三の建築の魅力は遠景で把握できる全体のフォルムにあり、村野藤吾の建築は近くで分かる細部・ディテールにあるという、ふたりの建築の特徴を対比的に捉えた評だと私は解釈している。

遠景と近景。今までは分析的な視点で火の見櫓の近景を主として観察してきた。具体的には上の写真のようにまず火の見櫓の全形を見て、それから下の写真のように火の見櫓の構成要素を「屋根・見張り台」「踊り場」「脚」と上から順に、そして更に細部を見てきた。

これは村野建築の観察法に通じるだろう。丹下建築の魅力は都市との関係(と書けば大袈裟なら周辺環境との関係)に注目しないことには理解できない。東京都庁やフジテレビの本社ビル、代々木体育館を思い浮かべれば分かるだろう。まず浮かぶシーンは遠景ではないだろうか。

来年は丹下建築の観察と同様に火の見櫓と周辺環境との関係や地域の人々の暮らしとの関わりに注目して観察したいと思う。今年とは違う写真を載せることになるはずだが、意識的に変えることができるだろうか・・・。











部材の接合にはリベットとボルトが併用されている。


 


「ことばの教育を問いなおす」

2019-12-15 | A 読書日記

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 『ことばの教育を問いなおす ―国語・英語の現在と未来』

国語・英語教育の現状とその問題点の指摘、なにかと話題の、いや問題の英語の大学入試などに関する論考。

**日本の大学までの教育は、徹底して読んで書くということをなおざりにしているように見えます。(中略)大学生が授業で読む文献の量も他の先進国にはまったく及びません。「読み」だけでなく、「書く」も重視されているようには見えません。そのような現状の上に、口頭によるコミュニケーション能力重視にさらに移行しようとしているのです。**(238頁 第10章 徹底的に読み、書き、考える―ことばの力の鍛え方) オックスフォード大学のチュートリアルという教育との比較から、論者の一人・苅谷綱彦氏はこのように指摘している。

大学生の約半数が月に1冊も本を読まないという現実。SNSの短文では論理的に考える力が鍛えられるわけがない。危うし、この国の教育。