透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

1,800冊

2020-05-21 | A 読書日記

 自室の本を1,700冊(*1)減冊した結果、書棚に並ぶ本は約1,800冊となった。内訳は単行本が1,100冊、新書本450冊、文庫本250冊。数年かけて、1,000冊まで減らしたいと思うができるかどうか・・・。当分の目標は本を増やさないようにすること。




*1 内訳:単行本260冊、新書本300冊、文庫本1,140冊


「建国神話の社会史」

2020-05-21 | A 読書日記

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 これからは書棚を定常状態に保つために年末に行う本の入れ替え戦を意識して、読む本を選ぶことにする。書棚に並びそうにない本(既存の本に簡単に「負け」そうな本)はできるだけ避けたい。となると、本選びはやはり松本駅近くの丸善ということになりそうだ。

『建国神話の社会史 史実と虚偽の境界』古川隆久(中公選書2020年)を今読んでいるが、この本も先日丸善で買い求めた。

**『古事記』『日本書紀』の記述が国によって「歴史的事実」とされた時、普通の人々は科学や民主主義との矛盾をどう乗り越えようとしたのか** この本の具体的なテーマがこのように本の帯に示されている(写真参照)。

神代史を史実として扱い、一つの歴史の流れとして扱うかどうか・・・。このことに関する見解の歴史的な経緯を豊富な資料を示しながら論じている。

以下に長くなるが紹介されている正反対の二つの見解を引用する。

**神代史については「神代の伝承は国体の真義を示し、且つ永遠に国史を貫いて生成発展をする国家生命の源泉」なので、「これを過去の歴史的事象として考察すると共に、その尊厳にして且つ悠久なる精神的意義を把握し、以てこれが国史の生命として展開せることを明らかにすべき」と、神代史を事実と認識する形になっています。(後略)**(159、160頁) 以上は太平洋戦争期の1943年に政府が公刊した歴史の概説書『国史概説』にある記述。

**「神代の歴史は茫乎として際涯(さいはて)なきが如く、単に史実として解すること能わず」、『古事記』『日本書紀』などについても、「当時の口碑伝説を後に輯録(しゅうろく)せるものなれば、其の神代の記事は真の事実として果たして那辺まで信憑するに足るものかは疑わし」と明記されています。**(160頁)

以上は東京帝大国史科教授であった三上参次の講義録をもとにした遺著で1943年に刊行された『国史概説』(上掲の文部省のものとは別)にある記述。

このようなことについて今まで考えたこともなかったなぁ・・・。


筆者注:このブログでは**で引用範囲を示しています。