透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「八甲田山死の彷徨」新田次郎

2020-05-28 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『八甲田山死の彷徨』新田次郎(新潮文庫1997年53刷)

 新田次郎の小説は何作も読んだが、他の作品は先日の減冊で書棚から消えた。じっくり考えてこの作品を残したわけではないが、まあ、妥当な判断だったと思う。

**日露戦争前夜、厳寒の八甲田山で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。2隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆に描く長編小説。** (カバー裏面の本小説紹介文引用)

この小説の内容から、国によって異なるコロナ禍への対応のことを考える。対応の違いが国民生活や経済の立て直しにどのような影響、どのような違いをもたらすことになるのだろう。今後注視していかなくては。


 


在宅勤務

2020-05-28 | A あれこれ

 新型コロナウイルス感染症拡大を抑えるために、政府の要請を受けて在宅勤務を続けている人が少なくない。少なくとも5、6年くらい前までは「仕事は家に持ち帰らない」とよく言われていたのに、状況が変わり「仕事は家でする」となった。

自宅で仕事をする場合、具体的にはどこですることになるのだろう・・・。

自宅がマンションだとすると、標準的な間取りは3LDKくらいか。リビングとダイニング、キッチンのワンルームと個室が3室。個室の内訳は夫婦の寝室と子ども部屋が2室。この間取りで宮坂お父さん(*1)は仕事をどこでするか。ダイニングのテーブルがその候補に挙がる(*2)。他にデスクがない。

普段はお母さんの居場所であるダイニングテーブル。朝の家事を終え、ひとり紅茶でも飲みながらテレビを見て寛ぐきわめてプライベートなスペース、そこが宮坂お父さんのワークスペースと化してしまっている。

ノートパソコンに向かう宮坂お父さんは普段とは違う真剣な表情をしているし、時々ケータイでビジネス会話をしている。それに何やらパソコンの横に資料を広げたり・・・。プライベートスペースに全く異質のスペースが入り込んでしまっている。

この状態にお母さんが違和感や居心地の悪さを感じるのは当然だ、ごく当たり前の空間認識なのだから。これでは普段夫婦仲がよくても軋轢も生じよう。

共稼ぎでふたりとも在宅勤務となればどちらかのワークスペースが無い、という事態も容易に想像できる。

このような住宅事情では在宅勤務は無理、というのが私の見解。


*1 ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」の登場人物
*2 実態はどうだろうか、調査しているところはないのかな。例えば住居系の学部の学生の卒論テーマになると思うけれど。