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■ 水色のテープが貼ってあることから20代で読んだ本だということが分かる。
『されど われらが日々―』柴田 翔(文春文庫1974年第1刷)
ぼくが学生の頃、ベストセラーになった小説。この本を友人たちが皆持っていたように記憶している。内容はすっかり忘れてしまっている。では再読したいかというとそうでもない。
**私はその頃、アルバイトの帰りなど、よく古本屋に寄った。そして、漠然と目についた本を手にとって時間を過ごした。ある時は背表紙だけを眺めながら、三十分、一時間と立ち尽くした。そういう時、私は題名を読むよりは、むしろ、変色した紙や色あせた文字、手ずれやしみ、あるいはその本の持つ陰影といったもの、を見ていたのだった。** カバー裏面(序章9頁)
この表紙を見ていると遠い遠い学生時代の出来事のおぼろげな輪郭が浮かび上がる・・・。