■ 村上春樹の作品では『ノルウェイの森』しか読んでいなかった私は(*1)、毎年ノーベル賞候補になる作家の作品なら一通り読んでおかねば、との思いから2007年に数カ月かけて集中的に読んだ。このブログにも村上作品について何回も書いている(過去ログ)。
村上春樹の作品(長編小説)
『風の歌を聴け』
『1973年のピンボール』
『羊をめぐる冒険』
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
『ノルウェイの森』
『ダンス・ダンス・ダンス』
『国境の南、太陽の西』
『ねじまき鳥クロニクル』
『スプートニクの恋人』
『海辺のカフカ』
『アフターダーク』
暗喩的な表現が多用されている村上作品は、読み手に解釈が委ねられている。これが特にヨーロッパで村上春樹作品の評価が高い理由だろう。自身の知的解釈を開陳することが好きな彼らにピッタリ、というわけだ。
この先、村上春樹の作品を再読することがあるか、と自問するに「ないだろうな」との内なる声。で、文庫本は全てある方にあげてしまった。「全て」と思っていたが、先日の減冊作業中に『羊をめぐる冒険(上)』(講談社文庫2006年8刷)が出てきた。春樹作品をひとつだけ残すとすればこの作品、と思い、下巻(講談社文庫2018年42刷)を買い求めた。さすが人気作家の作品、版を重ねている(下巻は何処に行ったのだろう・・・)。
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カバー裏面の紹介文から引く。
**新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編**(上巻)
**村上春樹の青春三部作完結編。**(下巻)
*1 『ノルウェイの森』は村上自身が河合隼雄との対談で明らかにしている(*2)ように「セックスと死」について書かれた小説だ。これを通俗的なポルノ小説とした評論も頷けないこともない。この小説はあまり好きではなく、その後長いブランクがあった。
*2 **あの小説ではセックスと死のことしか書いていないのです** 『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(新潮文庫)