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■ 『人生論ノート』三木 清(新潮文庫1974年49刷) 20代で読んだ本は、ぼくを木に喩えるなら、枝葉ではなく、幹になっているような気がする、ただ何となく。
**ハイデッカーに師事し、哲学者、社会評論家、文学者として昭和初期における華々しい存在であった三木 清の、肌のぬくもりさえ感じさせる珠玉の名論文集。**(カバー裏面の紹介文より)
あちこちに傍線を引いてあるから、この本も読んだのであろう。目次の「娯楽について」と「希望について」に△印をつけてある。
今なら「旅について」に印をつけ、次の一節(136頁)に傍線を引き、やはりそうだよな、と再確認というか、再認識するだろう。**何処から何処へ、ということは、人生の根本問題である。我々は何処から来たのであるか、そして何処へいくのであるか。これがつねに人生の根本的な謎である。そうである限り、人生が旅の如く感じられることは我々の人生感情として変わることがないであろう。(中略)人生は未知のものへの漂泊である。
ああ、46年ぶりの再読なり。