透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1812

2018-12-29 | A ブックレビュー


■ 2018年12月に読んだ6冊の本

『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本』苅部 直/新潮選書
明治維新は外発的に、それもそれ以前の近世と断絶したかたちで突然なされたという認識が一般的だと思う。だが、本書は実はその下地(近代西洋思想に共感し、自然科学を理解できる下地、素養)が既に江戸時代に出来ていて、明治維新は内発的になされた、西洋化は必然だったということを実証的に論じている。今年の3冊候補。

『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝帯の正体』藤岡換太郎/講談社ブルーバックス
フォッサマグナの西側の境界線上に住む者として、無関心ではいられない。フォッサマグナがどのように出来たのか、その謎の解明に挑む。実に興味深く、おもしろい内容だった。

『新東京風景論 箱化する都市、衰退する街』三浦 展/NHKブックス
昔の東京は好かった、ということか。

『コンビニ外国人』芹澤健介/新潮新書
多文化共生社会の構築  

農業や漁業始め、この国の産業は外国人の労働力に頼ることで成り立っているのが現状だ。外国人と共生することを前提とした社会をきちんと築かないとこの国はやがて沈没する・・・。

22世紀には人口が半減すると予測されている。現在の社会・経済システムを維持しようとしないで、その人口規模に合ったシステムって構築できないのかな、とも思うのだが。

『ふしぎな県境 歩ける、またげる、愉しめる』西村まさゆき/中公新書
人の趣味を覗いてみるのも楽しいものだ。知らなかった、福島県に幅1メートル、長さ8キロのエリアがあるなんて。

『徳川家康の江戸プロジェクト』門井義喜/祥伝社新書
江戸が自然の地形を活かしつつ、改変してつくられた都市であることを再認識する。読みやすく、歴史に詳しくない私のような一般読者向け。

『家康、江戸を建てる』も読みたい。再読中の『江戸の都市力』鈴木浩三/ちくま新書の内容と重なる。


 


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