透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

仮設団地について考える

2011-05-17 | A あれこれ

■ 東日本大震災。避難生活を続けている罹災者は今なお11万人を越えている。ようやく各地で仮設住宅への入居が始まったが、まだ完成戸数が少なく、抽選によって入居者を決めている。そのためにひとつの集落(地域)の人たちが各地に分散してしまい、コミュニティが断ち切られてしまう・・・。

仮設住宅にこもって孤立した生活を続け、アルコール依存症になったり、うつ病を発症するなどの問題が、過去の災害時に指摘された。仮設住宅での孤独死は痛ましい。このようなことを踏まえ、やはり向こう三軒両隣、いやもっと広域な集落でまとまって、コミュニティを保持することの必要性を指摘する声は多い。だが残念ながら今回も過去の教訓はどうもあまり活かされていないようだ。集落単位の抽選にすれば、コミュニティは保持されるだろうに・・・。

本格的な復興まで、かなり長期間生活することになる仮設団地であれば、規則的に仮設住宅を並べるというような単純な配置は好ましくない。そこに日常性を取り込む工夫というか、配慮も必要ではないか。仮設団地といえどもコミュニティを保持、誘発することができるような、きちんとした計画が求められる。

空地を設けてベンチを据えたり、樹を植えるなどして生活空間に潤いをもたせること(樹は復興後の街に移植してもいい)、仮設団地内にどこの街にもあるような商店や理髪店、カフェ、食堂などを設けるなどする必要もあるだろう。居酒屋があってもいいではないか。ひとり呑みより、旧知の人たちと呑む方が好ましい。居酒屋は悲しみや苦しみを分かち、希望を語り合う場として機能すると思うのだが・・・。

以下、続く・・・かな?


「江戸の坂 東京の坂」

2011-05-15 | A 読書日記



 『江戸の坂東京の坂(全)』 横関英一/ちくま学芸文庫 をようやく読み終えた。ちょっとマニアックなちくま文庫にふさわしい内容の本だった。

著者の関口さんは仕事のかたわら長年江戸の坂、東京の坂について研究を続けてこられた方。切絵図などの古地図を調べ、坂に関する史料をあたるなどして、坂の所在地の特定を試み、呼び名の由来やその変遷などを詳細に研究した、その成果が収録されている。

本書には昭和30年代頃の撮影と思われる東京の坂の写真が何枚も掲載されていて、当時の東京を知らない私でもなかなか興味深かった(掲載写真が小さいのはちょっと残念)。本のカバーの裏面には**「坂道」研究というジャンルを確立し、いまなお坂道ファンのバイブルと親しまれる古典的名著。**とある。

東京は坂の街だ。これからはこのことを意識することになるだろう・・・。街を歩いていて坂名起因などを記した説明板があれば立ち止まって読む、と思う。今年はまだ一度も東京していないが、そのうち機会があるだろう。


菜の花

2011-05-15 | A あれこれ



春のフォトアルバム 鄙里に咲く菜の花  110515 

黄色い花は緑豊かな野によく映える。  

司馬遼太郎はタンポポや菜の花など、黄色い花が好きだったそうだ。 

文春文庫の司馬遼太郎作品の背表紙が黄色なのはこのことを考慮したからかもしれない・・・。 


気になる図だが・・・

2011-05-12 | A 読書日記

「民家の屋根の形の全国的な分布をマッピングしたものも記憶にあるが、掲載されている本が見つからない。」 数日前、ブログにこう書いた。



『風土の意匠 次代に伝える民家のかたち』浅野平八/学芸出版社を書棚から取り出して頁を繰っていて下図を見つけた。この図は記憶にある図とは違うような気がするが・・・。


「日本の風土と民家のスタイル 表象としての屋根」

この図に示されているされているのは一体何の分布図なのか、分からない。凡例に示されている1類~6類って何だろう・・・。図の前後の頁をさがしても説明文が見つからない・・・。


マッピング

2011-05-08 | A あれこれ

 

 上図は国土地理院発行の5万分1地形図の一覧図。全1249面が日本地図上に示されている。というか、5万分1地形図で日本地図が構成されている。裏面には2.5万分1地形図、全4371面が同様に示されている。実に明快で分かりやすい。県別の一覧表では全体像を分かりやすく示すことはできない。表ではできない、図だからできるのだ。

20代の頃は旅行に出かける時、目的地の地図(5万分1地形図)を携行した。そして歩いたルートなどを記録していた。買い求めた地図のところをオレンジ色に塗ってある。今まで続けてくればよかったな、と思う。この地図のように、ある事柄の「全体像」がヴィジュアルに示されたものを好む傾向はどうやら昔から変わっていないようだ。 

本にもこのようにビジュアルで分かりやすい情報が載っていると記憶に残る。例えば下図のように。


弥生時代前期の植生と文化圏(右)

この図は『森林の思考・砂漠の思考』鈴木秀夫/NHKブックス に載っている。先日、松本市内のカフェでこの本のことを話題にした。1978年4月に読んだという記録があるから、33年前ということになる。本の具体的な内容は忘れても、このような図は記憶に残っているもので、この分布図が浮かんだ。





上図は『地域と民家 日本とその周辺』杉本尚次/明玄書房に載っている「民家を指標とした地域区分図」。民家の屋根の形の全国的な分布をマッピングしたものも記憶にあるが、掲載されている本が見つからない。

 

これは松本清張の『砂の器』の出てくる「日本方言分布図」。出雲地方の一部でも東北と同じズーズー弁が使われている。このことが事件の謎を深めることになる。この小説を中学生のとき読んだが、いまだにこの図を覚えている。

いま読んでいる『江戸の坂 東京の坂(全)』 横関英一/ちくま学芸文庫 にも取り上げている坂を地図上にプロットして示してあれば大変分かりやすく、ありがたいのだが・・・。その作業を自分でする? とてもそんなズク(方言:根気、やる気、気力の意)はない・・・。


蔵の牛鼻

2011-05-07 | F 建築に棲む生き物たち


棲息地:松本市島立の蔵 観察日:110505

小屋組みを受ける地棟が妻壁から突出した部分(下の写真)を漆喰で包み、意匠を施したものを「牛鼻」という。藤森照信さんはこの妻飾りの「路上観察用語」として「蔵ワッペン」を提唱していた(昨年茅野市民会館で開催された藤森照信展)。

水、寿などの文字の他、家紋などが飾られる蔵ワッペンは、鶴や亀、龍などの棲息地でもある。先日松本市内で見かけた蔵ワッペンには鶴が棲息していた。棲み始めてまだそんなに年数は経っていないと思う。


松本市梓川にて 100704


帯代二十両

2011-05-06 | B 石神・石仏



■ 前稿で取り上げた火の見櫓の脇にある道祖神、祝言跪座像(松本市島立)。毎年地元の子どもたちが彩色しているとのことだ。裏面に弘化2年の作で、帯代二十両だと彫り込まれている。



昔は「嫁入り」という道祖神ぬすみの風習があって、夜中に道祖神を近隣の村人がぬすんでいくことがあったという。帯代というのは、まあ結納金のようなもの。「嫁入り」させるなら、二十両の結納金をいただきます、という意味だと解してよいだろう。ここに祀られていた天保8年の道祖神は同じ島立の南栗という地区に「嫁入り」していることを脇の説明板で知った。


 


157 松本市島立の火の見櫓

2011-05-05 | A 火の見櫓っておもしろい


157

■ 細身の櫓、中間で一番細くなって見張り台では少し太くなっているように見える。これはレアなプロポーションではないか。

円錐形の屋根、大きな矢羽。三角形の見張り台、半鐘の他に大きなスピーカー、もう半鐘が叩かれることはないのだろうか。三角形の櫓、少し貧弱な脚部。

すぐ脇に彩色道祖神がある。道祖神については稿を改めて。


 


「おひさま」の小旗

2011-05-05 | B 繰り返しの美学

 
松本市内にて 110505

 気がつけば「火の見櫓はおもしろい」が「繰り返しの美学」を投稿数で越えていた・・・。

久しぶりの「繰り返しの美学」。今回は街灯と、そこに掛けられた小旗の繰り返し。既に何回も書いたが、同じものが直線的に等間隔に並べられていると、なぜかその状態を美しいと感じる。なぜ単純なルールによって秩序づけられた状態に美が宿るのかは、説明できないが、とにかく美しい・・・。

NHKの朝ドラ「おひさま」の小旗が街灯の繰り返しを強調している。この季節、ハナミズキが凡庸な街路を美しく彩る。新緑の5月、1番好きな季節がめぐってきた。


そのカードでも

2011-05-05 | A あれこれ



そのカードでは・・・ 

 スイカが使えるようになっていた。このところ東京する機会がなく、スイカも使うことがないなぁ、と思っていたが、コンビニで使えるとなると便利だ。チャージすることもどうやらOKらしい。逆にコンビニカードがスイカの替わりに使えるようにはならないのかな。使えるようになる日が来るかもしれない・・・。

2枚のカードにはそれぞれペンギンとキリンがデザインされている。右利きの人が手描きすればなぜか普通は左向きになる、これホント(犬でも描いてみて下さい、ほら・・・)。

ペンギンとキリン、それぞれ意味があるだろうが、知らないなぁ・・・。キリンの名前がnanacoなのかな。ペンギンにも名前がついているのかな、Suicaはペンギンの名前じゃないよなぁ。