透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

繰り返しの美学 東京

2014-09-22 | B 繰り返しの美学


表参道ヒルズにて 撮影日140921


撮影2006年11月

■ 表参道ヒルズに小旗がいくつも掲げられていた。上下の小旗を比較すると、下の方がグラフィカルでしかも2種類全く違うデザインだから、「繰り返し」が分かりやすい。それに対して上のデザインは注意して良く見ないと何種類あるのか分からない。したがって繰り返しによる効果も弱い。

この場所にこのように掲げるということがあらかじめ分かっていたのかどうか・・・。デザインの優劣ということではなく、「繰り返しの美学」的には下の方が視覚的効果がある、という印象(あくまでも私個人の)。


 


― 豊科新田の火の見櫓

2014-09-19 | A 火の見櫓っておもしろい


(再) 安曇野市豊科新田の火の見櫓  合同庁舎2階から望む。 後方は建設中の安曇野市庁舎。

 正月になるとこの火の見櫓の隣にきれいな御柱が立てられる(過去ログ)。 火の見櫓は見る位置や方向によって印象が違う。この火の見櫓をこの位置から見た時、既に見たことのある火の見櫓だとは気が付かなかった。

「あれ、あんなところに火の見櫓がある」と思って歩いて行ってみて、豊科新田の火の見櫓だと分かった。

一度見たから、OKというわけでは決してない・・・。


 


南木佳士「ダイヤモンドダスト」再読

2014-09-18 | A 読書日記



■ 南木佳士が『ダイヤモンドダスト』で芥川賞を受賞したのは1989(平成元)年のことだったと確認。そんなに前のことなのか・・・。その何年か後に文春文庫で読んでいる。『からだのままに』に続き、この『ダイヤモンドダスト』を再読した。

主人公の和夫は町立病院に勤める看護士(男女共看護師と表記されるようになったが、小説が発表された時はまだ男性の場合、看護士と表記していた)。 小学四年生のとき母親を肝炎で亡くす。結婚した相手は足首を骨折して入院していた女性、俊子。子どもが四歳のとき、和夫は妻を転移性の肺腫瘍で亡くす。そして物語のラストで父親を亡くす・・・。

母親の最期を看取った医者が小学生の和夫の肩に手を置いて言う。**「人間てのはなあ、いつかは死ぬんだぞ。そのいつかってのはなあ、こんなふうに、風が吹くみたいに、ふいにやって来るもんだんだな。普通のことなんだぞ。珍しいことでも、怖いことでも、なんでもねえんだぞ」**(153頁) 

作者が医者として患者の死と向き合うことで得た死生観が淡々と綴られている。

読後の静かな余韻に浸る・・・。


 


南木佳士「からだのままに」再読

2014-09-17 | A 読書日記



 信州佐久平の自然のこと、釣りのこと、三歳の時に亡くなった母に代わる育ての親の祖母のこと、勤務先の佐久の病院での老いた患者との会話のこと、パニック障害からうつ病へ移行した病気のこと、50歳になってから始めた登山のこと・・・。南木佳士は同じことを繰り返しエッセイに書いている。

『からだのままに』文春文庫を自室の書棚から取り出して読んでいる。

よく練られた静かな文章がこころに沁みる。南木佳士の作品は沈みがちは私の秋のこころによく効く薬。


 


塩尻市洗馬の青面金剛

2014-09-16 | B 石神・石仏


撮影日 140915  塩尻市洗馬下小曽部の大日堂境内に祀られている青面金剛像

■ 戦前から、いやもっと古く、江戸時代から、あるいはもっと前から在るような集落には火の見櫓は無くても石神・石仏はあるものだ。

火の見櫓は撤去されてしまうことはあっても、石神・石仏が撤去されるということはまず無い。道路工事などの事情で他の場所へ移設されるということはあるだろうが。

火の見櫓を見に出かけて、石神・石仏を見かけることがよくある。この青面金剛像の場合もそうだった。基壇は写していないが、そこに元文三戊午と彫ってあり、続けて冬安居之日 奉供養庚 申小曽部色 講中三十○ とある。色は正しく読みとれているかどうか。色では意味が分からない・・・。三十はたぶん合っていると思うが、これも意味が分からない。○とした一文字は読みとれなかった。

元文三戊午は1738年だとネットで調べて分かった。270年以上も前ということになる。その頃、この集落には庚申講があったのだろう。たぶんその頃も宗教的な意味合いはそれほどなく、庚申の日の夜には宴席が設けられ、親睦を深めていたに違いない。

今では庚申講はあまり無くなったから、この辺りで続いているのかどうか。近所の人に訊いてみればよかった。小曽部川の上流にある上小曽部地区には今でも続いている集落があると以前聞いたことがあるが。


 


朝日村の道祖神

2014-09-15 | B 石神・石仏



長野県東筑摩郡朝日村は松本市と塩尻市に境を接する農山村。朝日村には30数基の道祖神があるそうだが、これはその内の1基、西洗馬の道祖神で二十三夜塔と共に祀られている。



男神と女神が並び立ち、相手の肩に手をかけ、握手をしている姿から抱肩握手像と呼ばれる道祖神。裏面に建立年が彫り込まれている。寛政七夘七月吉日。 調べると寛政七年は確かに卯(うさぎ)年、西暦では1795年。

建立されてから既に200年以上経過しているが、像は摩耗しておらず、鮮明。


 

メモ:夘は卯の異体字


朝焼けの詩

2014-09-15 | E 朝焼けの詩


秋のフォトアルバム 撮影日140915  朝焼けを背景に凛と立つ火の見櫓

 松本市上今井に立つこの火の見櫓は朝焼けがよく似合います。真っ赤に染まった朝焼けを自宅の近くで見た後、ここまで車で行ったのですが、薄いピンク色から薄い空色へのグラデーションの空に変わっていました。

自然の色彩表現はすばらしいといつも思います。

自然の美しさに魅せられて多くの画家たちが表現してきたのですね。でも自然は常に先を行き、振り返ってはここまでおいでと画家たちを刺激し続けているんですね・・・。


 


秋の朝 0915

2014-09-15 | E 朝焼けの詩


秋のフォトアルバム 140915 05:25AM

 今朝の朝焼けはすごかったです。

5時10分ころ、東の空を覆う雲の切れ間がところどころ薄いピンク色に染まっていました。きれいな朝焼けになるという予感がしました。観察を続けているとなんとなく分かるようになるものですね。

しばらくすると、空一面が赤に変わりました。その変化は実に劇的でした。とてもリビングの窓からでは写しきれません。外に飛び出して撮りました。

早起きした人にしか見ることができない光景。やはり早起きは得です。


同じ頃やはり朝焼けを見ていた新潟の女性 →こちら


503 辰野町小野の火の見櫓

2014-09-15 | A 火の見櫓っておもしろい


503

 上伊那郡辰野町小野下雨沢。この辺りでは国道153号線に沿ってJR中央線が走り、集落もやはり国道に沿って形成されている。

昨日(14日)同市横川からの帰路、この集落内で火の見櫓を見かけ、観察した。何回も通っているところだから、既に目にしていたかもしれないが、観察するのはたぶん初めて。



屋根の形がいい。方形屋根頂部の避雷針の飾り、軒先4隅の蕨手、共に存在感があって目立つ。見張り台は4角形の4隅を面取りしている。手すり子は亀甲形、その上下を円形にカーブさせている。ちょっとにぎやかすぎるという印象。もっとすっきりしているのが好み。見張り台直下にもリング式ターンバックル付きのブレースを入れている。



屋根の骨組みの様子。各屋根面の中央と下り棟に平鋼を入れている。下り棟の平鋼を桁材(に相当する部材)の山形鋼で4角に結び、柱材で受けている。桁と柱をアーチ材で繋いで補強するという念の入れようだ。



これは横川の火の見櫓(180)の屋根の骨組みの様子。同じ方形の屋根でも骨組みが違う。



櫓の中間、踊り場に吊るされた半鐘。



脚部、とは言えない・・・。このように櫓の外側に梯子を設置すればこのようにブレースがあっても支障はないが、やはり脚のデザインをしてあるのが好ましい。


 


並び立つ青面金剛と道祖神

2014-09-14 | B 石神・石仏

 

辰野町横川にて 撮影日140914

 石神・石仏が何体か祀られている中に青面金剛と道祖神が並び立っていた。



青面金剛像は石の上部が欠落している。もっと丸みのある頂部だったと思われる。像の脚下に2羽の鳥が中を向いて立っているように見える。右側ははっきり分かるが、左側はそのような先入観を持って見れば、そう見えるが、はっきりしない。申(さる)の次は酉(とり)。申年が早く明けて、酉年になって欲しいという願いが込められているという解説文を本で読んだことがある。鳥の下には三猿が並ぶ。



双体道祖神。向かって左側の女神は酒器を持ち、右側の男神は盃をこちらに向けて持って祝言を表している。仲睦ましい姿、表情。

この道祖神のようにおにぎり形の石に円をおさめ、その中に像を彫るというタイプはよく見かける。このような形は安定感があり、整って見えて好ましい。



 


― 火の見櫓のある風景

2014-09-14 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)  火の見櫓のある風景 辰野町横川飯沼沢

 横川川(よこかわかわ)の左岸を生活道路が伸びる。川側は道路より低い敷地に民家が並び、山側は道路に沿って石積み擁壁が続き、その上に民家が並び立つ。

今日(14日)、この地を再訪した。魅力的な空間構造だ。背の高い火の見櫓は風景のアクセント。これは絵になる・・・。