975 飯山市中曽根 撮影日180422
■ 火の見櫓全体の型は同じでも、細部を観察すると違うところがあることに気がつく。そう、火の見櫓は十基十色、みんな違う。
両者、屋根と櫓上端との接合方法が少し違う。前稿に載せた飯山市寿顔戸の火の見櫓は櫓の横架材の上面から平鋼の、建築で言えば小屋束を設けて、屋根下地材と溶接接合している。同市常盤の火の見櫓は隅の補強プレートと屋根とをボルト接合(屋根とボルトは溶接しているかもしれない)している。
たかが火の見櫓、されど火の見櫓。火の見櫓っておもしろい。
974 飯山市寿顔戸(ごうど)4脚8〇型 撮影日180422
■ やや細め、という印象。この火の見櫓にはブレースが6段設けてあるが、上4段はアングル(山形鋼)のブレースで、下2段はリング式ターンバックル付き丸鋼ブレースだ。松本平では全てのブレースがリング付きのブレースの場合が大半だが、東北信では、この火の見櫓のようなブレースの入れ方をしている場合が多い。
屋根は8角錐で急勾配。軒先に蕨手を付けていない。これは雪害対策だろう。この日見てきた火の見櫓は雪の影響で屋根が変形したり、蕨手が開いてしまったりしていた。
屋外消火栓の横のコンクリート基礎に建設年月が記されていた。それにより昭和33年11月に建設されたことが分かった。昭和30年代に火の見櫓が最も多く建設された。
973 飯山市寿 4脚無4型 撮影日180422
■ 火の見櫓とは直接関係のない余談だが、火の見櫓の手前の大きな建物には雪下ろしで屋根に上るための梯子が設置してある。左後方に写っている白い壁の住宅の切妻屋根も雪下ろしをすることを前提に緩勾配にしたのだろう。屋根に積もる雪の扱いによって屋根の勾配など、建築の対処の仕方も変わる。
このような火の見櫓の屋根は扱いに迷うが、半鐘の上の小屋根は、あくまでも半鐘に雨が掛からないようにという配慮のもので、櫓の上部を覆うように設けられている屋根とは明らかに異なる。このことから4脚無4型(脚が4本、屋根無し、見張り台の平面が4角形)とする。
①
972 飯山市常盤(県道95号沿い) 4脚8〇型 撮影日時180422 07:10AM まだこんな時刻!②
③
■ 同じ火の見櫓でも見る方向によって印象が違う。撮影意図に相応しい方向から撮りたい。火の見櫓のある風景なら道路を入れて奥行き感を出した①が好み、火の見櫓の立体的な構造を説明的に撮るなら②か③だが、この場合消防分団詰所の表側が写っている③を選ぶ。
火の見櫓の横に電柱が立っていたり、電線が邪魔だったり、好ましい方向から撮ろうとすると逆光だったり、後方に余分なものが入ってしまったり、なかなか思うようには撮れない。
④
⑤
櫓上端部と屋根との接合部。4本の柱の上端を横架材(柱と同材の等辺山形鋼)で繋いでいる(⑤が不鮮明だが、ボルト接合だと思われる)。4隅につけた3角形の補強プレート(写真④)と屋根の下地材をボルトで接合していると思うが、そうするとボルトが屋根面に突出してしまうはず。どのように処理しているのだろう・・・。
櫓の平面は4角形で屋根は8角形だから、両者の対象軸が重なる。従って4箇所の接合部は同じ状況になる。システムとしてみて合理的な組合せ。
端正なつくりのカンガルーポケット このようなカチっとしたデザインは好き。
下から1段目の横架材の位置に簡易な踊り場を設けている。この辺りでよくあるタイプ。
971 飯山市常盤(常盤小学校の近く) 4脚8〇型 撮影日180422
■ 飯山は菜の花でも有名で、市内の主要な道路沿いなどあちこちに黄色い花が咲いていた。 福寿草、スイセン、レンギョウ、ヤマブキ・・・。春には黄色い花が多いような気がするがどうだろう。蜜を求める虫たちにとって、黄色はもっとも分かりやすい色ではなかったかな。
この辺りの背の高い火の見櫓には4脚8〇型が多いようだ。
意図的に火の見櫓のフレームを分かりやすく写した。前稿の火の見櫓とは違って、この火の見櫓のブレースは上から下まですべてリング付き。中間にカンガルーポケット(バルコニー型の踊り場)と半鐘。脚は短い。
屋根や飾りは錆びてはいるが、変形していない。
脚部。櫓の中に出入りする正面のみアーチ部材を使い、残り3面にはブレースを入れている。
969 飯山市旭(県道409号沿い)4脚8〇型 撮影日180422
■ 長野県の北部、新潟県に境を接する飯山市は豪雪地帯。屋根の雪を自然落下させるために民家の屋根は急勾配で棟に雪割がついている。火の見櫓の隣の詰所の屋根棟にも雪割がついている。
雪の影響で屋根面が変形している。避雷針に設置した飾りの矢も曲がっていて、軒先のくるりんちょな蕨手も変形している。
柱脚部分に注目。柱材の下端をコンクリート基礎から立ち上げた同形の短材にボルトで接合している。建て方はどのようにしたのだろう。クレーンで火の見櫓を宙づり状態にして両部材の孔の位置を合わせてボルトを通して留めるという方法は、クレーンがまだほとんどない時代だから採用できない。だが、柱材と短材をボルトで接合してから建て方をしたとは考えにくい。この場合、わざわざ部材を分ける理由がないから。
968 火の見櫓のある風景 千曲市八幡 3脚4〇型 撮影日180422 05:04AM
■ 今日(22日)の早朝に出発して、飯山市・野沢温泉村・栄村の火の見櫓めぐりをしてきた。途中姨捨サービスエリア(下り)で休憩した。駐車場から急な斜面の集落に火の見櫓が見えた。姨捨の下りのサービスエリアで休むことはないので、この火の見櫓を見るのは初めて。
■ 『人類の進化が病を生んだ』(写真の右の本)を読み始めた。ページをめくるとき、2枚めくってしまったような気がして確認すると、1枚だったということが数回続いた。この本に使われている用紙が厚いことに気がついた。
『流れとかたち』は本文の用紙が214枚で厚さが23mm、『人類の進化が病を生んだ』は172枚で26mm。確かに「人類」の方が厚い。で、どのくらい厚い?
電卓をたたいて計算してみるて、用紙の厚さが約1.4倍ということが分かった。これだけ厚さが違えば、指先のセンサーでも感知できるということか・・・。
読み終えた『流れとかたち』については別の機会に書きたい。
撮影日時180420 05:15AM
今朝5時過ぎ、東の空が朱く染まっていた。
空は刻々と表情を変えていく。
自然の表現力はすごい。
今日も何か良いことがあるだろう・・・。
967 松本市島内 小宮公民館前 3脚8〇3型 撮影日180418
■ 「火の見櫓っておもしろい」 このカテゴリーの記事が1,200稿を超えた。よくもまあ飽きずに繰り返し同じようなことを書き続けたものだ、と自分でも思う。 このところ火の見櫓センサーの反応域が変わったのかどうか、近場にありながら今まで気が付かなかった火の見櫓に反応することがある。この火の見櫓然り。この火の見櫓近くの幹線道路を時々車で通っているが、今まで気が付かなかった。それが昨日、遠景の中にこの火の見櫓が見えたのだった。
屋根のてっぺんの「だんご」を貫いて風向計付きの避雷針を設置している。このようなだんご付きのデザインは松本平で見られる。
松本平によくある平面が3角形の櫓に8角形の屋根が載っているのは珍しい。既に何回か書いたことだが、このような組合せだと、下の写真で分かるように、柱と屋根下地とがうまく納まらない。このことが分かっていて、敢えて8角形の屋根にしたのかどうか・・・。でも8角形でなければならないという積極的な理由が浮かばない。
3角形の櫓に円形見張り台。床面の構成はこの組合せに素直に対応している。
柱の頂部と屋根下地との取り合い
基礎にあらかじめセットしておいた山形鋼の部材に脚の下端を留めている。櫓の建て方をした後で、基礎コンクリートを打設する方法とは、施工手順が違う。この手順の方が施工性が良いかもしれない。
■ 昨日(16日)所用で大町へ。大町温泉郷まで足を延ばして薬師の湯で昼食に黒部ダムカレーを食べた。
食べるときの流儀はダムを最後まで決壊させないようにすること。ダム湖側から徐々食べて、堤体幅を少なくしていく。型に堤体材料のごはんをぎっしり詰め込む方法で施工されているので、堤体幅がかなり薄くなっても、注意深く食べ進めれば決壊することはまずない。
湯けむり屋敷 薬師の湯 黒部ダムカレー諸元
・ダム型式:アーチ式ライスダム
・堤体長:約15cm(黒部ダムカレーカードに記載されている数値)
・堤体高:約4cm(実測値)
・堤体幅:約4cm(目視による推測値)
・堤体重量:不明(他店と比べてやや少なめ、200~250gくらいではないかと思われる。昼食には適量)
・総貯ルー量:約200cc(黒部ダムカレーカードに記載されている数値)
・ダム湖に浮かぶ遊覧船・ガルベ:温泉たまご
・ダム下流:ポテトサラダ、キャベツのせん切り、リンゴ
・敷地:円形の白い皿 直径24cm
・ダム湖の深さ:計測しなかった
・施工費:800円(税込み)
・施工に要した時間:約4分 施工立会いをしていないが、数量限定であることと施工に要した時間から、ある程度まであらかじめ施工してあるものと推測する。
・竣工検査に要した時間:約15分
・味:味のことを言葉で表現することは苦手、好みの味だった。温泉たまごでよりマイルドに。
・施工会社:「湯けむり屋敷 薬師の湯」
・施工会社の所在地:長野県大町市大町温泉郷
施工会社 外観 撮影日180416
■ 新聞(*1)の読書欄に『人類の進化が病を生んだ』ジェレミー・テイラー/河出書房新社が載っていた。
**人類の身体は現在の環境におおむね適応してうまくできているが、パーフェクトではない。自然選択は、子孫を残すための形質には味方したが、長生きしたり、生活習慣病から免れたりすることには冷淡であった。**
病気は進化の失敗という結果ではなく、子孫繁栄とのトレードオフによる必然的な結果、ということなら病気になっても仕方がないかな・・・。
『流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則』エイドリアン・べジャン&J・ペダー・ゼイン/紀伊國屋書店を読み終えたら、読もう。
週末、仕事モードをオフにするためにくつろぎのひと時を過ごしたカフェ バロが閉店した。で、別のカフェ(*2)で読書にいそしむことにする。そう、今年度は本を読もう!
*1 信濃毎日新聞3月11日付朝刊
*2 名古屋珈琲店 松本市梓川倭