■ 別所温泉は塩田平を縁取る里山の麓にある。安楽寺はその温泉街の奥、山腹にひっそりと佇んでいる。
山門に続く長い階段をゆっくり上る。山門に立つと石畳のアプローチの正面に大きな寄棟屋根の本堂が見える。手入れの行き届いた庭木が奥行き感を強調している。
めざす三重塔は本堂の更に奥、山の中にある。急な階段を何段ものぼる。
四重塔ではないか、と思うが初重は裳階。2004年(平成16年)の調査により塔の用材の伐採年が1289年と判明し、1290年代(鎌倉末期)に建立されたことが証明された、とチラシの説明文に載っている。説明文にはわが国最古の禅宗様建築ともある。
大法寺の三重塔は美しく、安楽寺の八角三重塔は珍しい。
やはり人は美しいものに魅せられ、珍しいものに惹かれる。