透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「日本の年金」を読む

2019-06-18 | A あれこれ

 『日本の年金』駒村康平/岩波新書を読む。

**積立金の運用収入と取り崩しを考慮しない完全賦課方式で、かつ報酬比例方式の年金財政を想定してみたい。**(110頁)
この想定から、平均年金額×年金受給者数=平均賃金額×保険料率×現役労働者数という実に明快な式が示されている。左辺は支出、右辺は収入ともいえる。

この単純な式からはいくつものことが分かる。例えば現在の少子高齢化が何をもたらすか。少子高齢化は年金受給者数が増加していて、現役労働者数が減少している、と読み替えることができるが、このことが年金に関して何を意味するのか。

少子高齢化であってもこの数式を保つためにはどうすればよいか。これは実に簡単な数学的な問題。答えとして左辺の平均年金額を下げる。また、支給開始年齢を遅くするということも左辺、年金受給者数の操作とわかる。右辺の保険料率を上げるということも直ちに浮かぶ。右辺の現役労働者数の操作、これを制度的に実施することは困難でこの数が減少している。


昨日(17日)の新聞に載っていた週刊誌の広告には次のような記事の見出しがある。
**突然浮上した「在職老齢年金の廃止」で何が変わるのか** 
**衆院選が終わったら「68歳支給開始」を発表する**(週間ポスト)
**日経新聞は、年下の妻を持つ夫が繰り下げると、年間39万円の加給年金がパーになり、年金額にかかる税金もアップすると書く**(週刊現代)


年金に無関心ではいられない。5年に1度行うことになっている、年金の財政検証。2009年、2014年の6月初旬に結果が公表されている。今年はまだ公表されていない。いつ公表するかも示されていない、と新聞(中日新聞だったかな)に出ていた。


― 東筑摩郡麻績村の火の見櫓

2019-06-17 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)東筑摩郡麻績(おみ)村 矢倉公民館の近く 3脚3〇型 撮影日190616

 昨日(16日)は昼食時間の調整で筑北村の隣の麻績村まで足を延ばし、この火の見櫓を再訪した。

梯子段の間隔と段数から、見張り台の床の高さが約9.5mと分かった。この高さを外付け梯子で昇り降りするのはかなり怖い、と思う。





櫓下端、脚は無い。リングが小さい。メジャーで測ると直径10cmだった。



櫓の柱の接合部に注目。等辺山形鋼を重ね、ボルト接合している。梯子も同じ位置で接合している。この接合部は櫓部分の半分の高さの位置にある。



柱はもう1か所、見張り台の床面のところで接合している。この火の見櫓は3つに分割したユニットで現場に運び、現場で接合して一体化して、建て起こしたのであろう。今まで櫓の接合部には注目してこなかった・・・。


 


とくらダムカレー

2019-06-16 | F ダムカレー

 先日ネット検索して都道府県別にダムカレーのリストを掲載しているサイトを見つけた。そのサイトで長野県を見て筑北村の「西条温泉とくら」にもダムカレーがあることを知った。近くの小仁熊ダム(愛称:とくらダム)に因んだダムカレーで2017年7月に提供が始まったことも分かった。こんな情報が簡単に得られるのだから便利になったものだ。

昨日と今日(16日)は独身。今日の昼は外食しようと思っていた。鄙里の我が家から筑北村までは車で1時間ちょっと。千曲市や飯山市まで出かけているから、このくらい近いと感じる。ということで出かけてきた。

11時半、開店と同時に食堂に入ろうとすると、入口に満席という表示があった。団体客の予約で満席とのことだったが、案内係の女性が端っこに席を確保してくれた。


ドローンを使わなくても上空から俯瞰写真を撮ることができる。

とくらダムカレー諸元 

・ダム型式:重力式ライスダム
・堤体長:約19cm(実測値)
・堤体高:約3cm(目測値)
・堤体幅:約6cm(実測値)
・堤体重量:約250g(施工者にヒアリングして得た値)
案内係の女性が厨房の施工担当者に訊いてきれたが、分からないとのことだった。直後に別のお客さんがダムカレーを注文したので、その施工時に量ってくれたのだろう。この様な親切はうれしい。 

・総貯ルー量:約170cc(略算値)
直径20cm、高さ1cmの円柱の体積の半分として計算、1割ほど割り増しして得た値
・敷地:円 直径約26cm
敷地表面外周に青い模様が入っている。この様なデザインの円形敷地に共通する名称があると思うが、私には分からない。
・ダム湖の深さ:約1cm(推測値)
うっかり測るのを忘れた。ダムの貯ルー量に関わる基本的な値の計測を忘れるとは・・・。
・工事費:1000円(税込)
・施工に要した時間:約7分 
短時間で施工が完了しているが、これは堤体のライスを敷地外のプラントで型に充填するプレキャスト工法を採用して施工しているから。

・竣工検査及び試食に要した時間:約20分 
試食では堤体を重機、もといスプーンで均等に薄くしていく。最後まで堤体が決壊しないように注意して食べるのが私の流儀。貯ルー量がかなり減少して湖底が見えるようになると、スプーンで小さくなった堤体を移動してダム湖の面積を減らしていく。こうすると湖底がきれいになる。

・味:私は味に関する検査資格を有していないので対象外とする。で、美味かったとだけ検査結果を記しておく。検査員はひとりではダメだと思うが今回は仕方ない。 
・その他:素揚げの長ナスと鹿肉団子でダムに架かっている長野道の小仁熊橋を表現しているとのことだが、これが外観上の特徴。 
・施工会社:食事処やまぶき
・施工会社の所在地:東筑摩郡筑北村西条





 


サイエンスカフェ@風のいろ

2019-06-16 | A あれこれ

 昨日(16日)の夕方6時から池田町のカフェ 風のいろで開催されたサイエンスカフェに参加して、池田町出身の大学生・宮田さんの「池田町の蝶はすごいぜ」と題した講演を聴いた。

宮田さんは小学2年生のときから蝶(この記事では漢字表記にする)の写真を撮っているそうで、私は偶々先月松本市美術館と安曇野市の穂高交流学習センター「みらい」で開催された写真展で彼の蝶の写真を見ている。宮田さんの蝶の撮影のことはずっと前(彼が中学生の時だったかと思う)に新聞でも紹介されていたので、名前は知っていた。

対象は何であれ、あるものに熱中している人の話はとても興味深く、おもしろい。

蝶の写真をスクリーンに映し、それを説明するというスタイルの講演だったが、はじめに次の数字が示された。長野県で生息が確認されている蝶は149種類(全国で一番多い)。北安曇郡池田町は面積が長野県で6番目に狭いのに生息してしる蝶は116種類。

なぜ池田町には多くの種類の蝶が生息しているのか。池田町には多様な生息環境があるからだという。宮田さんは池田町の蝶の生息環境(生息域とすべきかな)を平地(耕地、住宅地)、低山地(雑木林)、草原、河川敷4つに大別し、それぞれの環境に生息してる蝶を紹介した。私は蝶のことは何も知らないが、スクリーンに写される翅のデザインに魅せられた。やはり対象を問わず、美しいものに魅かれる。

蝶の翅の色は構造色によるものだそうだ。構造色については先日読んだ『虫や鳥が見ている世界』浅間 茂/中公新書に出ていた。体色は構造色によるものともうひとつ、何だっけ・・・。思い出せなかった。自宅に帰ってから確認して「色素」だと分かった。色素は体内でつくられるものと食べ物由来のものがあるという説明も再読した。

「色素と構造色」、覚えておこう(しばらく経つと忘れてしまうだろうな、脳の劣化が進んでいるから)。

講演の最後に「蝶を見れば自然の変化が分かる」と宮田さんは語っていた。池田町でも次第に見られなくなっている蝶がいるとのこと。やはり環境の変化の影響が蝶などの昆虫にも及んでいるのだろう。生物多様性は環境の変化にも生き残る種があるようにという創造主の用心深い配慮だとも言われるが、心配ではある。

有意義な時間だった。



  

以前この本を読んだとき、サイエンス・カフェっていいなと思った。カフェ 風のいろは自宅からは遠いけれど、これからも参加したい。


 


「日本の年金」を読み始める

2019-06-16 | A 読書日記



 昨日の朝(15日)TSUTAYA北松本店で『日本の年金』駒村康平/岩波新書を購入。スタバのいつもの席で早速読み始める。両店は共になぎさライフサイトという複合ショッピングセンターにある。一体化して書店の中にカフェがあるというようなスタイル、そう東京の代官山の蔦屋のような店になればおもしろいのにと思う。

序章の「年金制度を取り巻く状況」に次のような件がある。**年金制度は「生き物」であり、改革を続ける必要がある。逆に、強い既得権や利害の対立、政治的な思惑により、改革すべきときに改革できなくなったときこそが年金制度の本当の危機なのである。**(2頁)

年金制度の改革って、
・保険料を上げる
・給付額を減らす
・支給年齢を引き上げる
ということの他に何か具体的な方策があるのだろうか・・・。

麻生金融担当相が金融庁の審議会報告書の受け取りを拒否したことは、ある意味正直な対応だったと言えるかもしれない。何食わぬ顔をして受け取っていれば、年金制度が抱えている問題が広く国民に知られてしまうことなどなかっただろうに・・・。いや、年金だけで生活することは難しいということはとっくに周知のことか。

「老後2000万円」などという新聞記事の見出しで、年金以外に老後の資金として2000万円の蓄えが必要だということが強調されているが、入院費用や介護費用を考慮すると3500万円くらいの蓄えが必要だという指摘もある。

年金について無関心ではいられない。『日本の年金』を読み進めよう。


 


― 久しぶりに半鐘の音を聞いた

2019-06-15 | A 火の見櫓っておもしろい


松本市笹賀にて 撮影日時190615朝7時直前


木槌で叩かれた半鐘が傾いている。

■ 今朝(15日)7時前に車で移動中に火の見櫓の見張り台に人がいることに気がついた。近くに車を停めて待つこと数分、ちょうど7時になり、久しぶりに半鐘の音を聞いた。今年の3月にもこの火の見櫓の半鐘の音を聞いている(過去ログ)。その時の団員と立ち位置が違う。



火の見櫓は次第に撤去されているが、今なおこうして半鐘を叩いているところもある。滅多に目にすることができない貴重な光景・・・。


 


106枚目は記者のTさん

2019-06-15 | C 名刺 今日の1枚


106

 今から7年前、2012年5月にプライベートな名刺をつくった。機会がある度に名刺を渡してきて既に100枚を超えている。

今日(15日)市民タイムスの記者Tさんと名刺交換をした。彼女の名前は同紙で時々目にしていて知っていたが、今まで会う機会はなかった。今は自己PRの時代、「火の見櫓はおもしろい」を出版した時に取り上げてもらえたらうれしい。 


 


年金 不都合な事実

2019-06-13 | D 新聞を読んで

 金融庁金融審議会の年金に関する報告書

・公的年金の水準については、中長期的に実質的な低下が見込まれている。
・年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある。

上掲の文章は信濃毎日新聞6月13日付朝刊の4面に掲載された記事からの引用。


 年金制度の現状維持は困難、という指摘は前々からあり、週刊誌でも時々取り上げていた。少子高齢化によって、騎馬戦のように3人で1人の老後を支えればよかった時代はとうに過ぎ、今や肩車状態、1人で1人の老後を支えている。今後はおんぶにだっこ、1人で2人を支えるような状態になるのではないか(この状態には根拠がなく、私の勝手な推論。でも実態とそうかけ離れてはいないと思うが、どうだろう)。『日本の年金』駒村康平/岩波新書を読めば、この辺りのことが分かるかもしれない。書店でこの本を探してみよう。

年金支給開始年齢は近い将来70歳になるだろう、という予想もあるし、やがて75歳になるという厳しい予想もある。これは単なる主観的な「予想」ではなく、年金制度保持のための客観的な根拠に基づく「予測」なのかもしれない。70歳まで年金をあてにせず、働いて生活費を稼いでくださいよ、ということか。そういえば今現在本人が希望すれば65歳まで雇用しなければならない、と法的に規定されているが、これを70歳まで延長するという動きが既にある。これは年金支給開始年齢を70歳にするということにつながっているのだろう。

年金制度の健全な再構築は、日本の人口の年齢構成から判断すれば無理、無理。肩車状態をどうやって騎馬戦状態に戻すというのか。

 寓話「アリとキリギリス」

老後の暮らし、30年として不足する2000万円の蓄えが必要か、20年だと1300万。鄙里で質素に暮らすしかないな・・・。


 


旧開智学校の屋根

2019-06-12 | B 繰り返しの美学



 建築の構成要素そのもののデザインには特にこれといった特徴が無くても、それを直線的に、そして等間隔にいくつも配置すると、「あ、美しいな」とか、「整っていて気持ちがいいな」とか、そういった感情を抱く。このような経験は私の個人的なものではないだろう・・・。シンプルなルールによって、ものが秩序づけられた状態・様子を脳が歓迎しているのだ。

建築構成要素を直線状に等間隔に並べるとそこに秩序が生まれ、それを美しいと感じる。このことを「繰り返しの美学」と称して時々ブログに取り上げてきた。旧開智学校の屋根の棟の飾りはまさに繰り返しの美学だ。リズミカルな構成が美しく、心地よく感じる。


 

 


ゲラ刷りチェック

2019-06-12 | H 「あ、火の見櫓!」



 6月5日(水)にゲラ刷りを受け取った。どこかで線引きをしなければ、ゲラに朱を入れる作業は終らない。とはいうものの、気になる箇所は直したい。箇所についても、他にか所、カ所、ヶ所という表記もある。どれが良いのだろう・・・。いまは出版することに意義あり、と考えることにしよう。

写真のレイアウトにはこだわっているが、かなり良くなったと思う(自己満足 )。後は写真の解像度の問題、パソコンで見る限り、十分だと思っても印刷すると粗い写真があるということだが、これは仕方がないかな・・・。

本になるまでの経緯をブログに記録しておく。


以前このカテゴリーで原稿を書いていましたが、ゲラに朱を入れる段階になり、掲載を中止しています。


「2001年 宇宙の旅」を観た

2019-06-11 | E 週末には映画を観よう

 「2001年 宇宙の旅」は1968年に制作されたSF映画。この映画はテレビでも放送された。この映画をいつ、どこで初めて観たのか、記憶にない。だが、1978年(昭和53年)に映画館で再上映されたということだから、その年に映画館で観ていると思われる。この映画をDVDで8日(土)の早朝観た。

映像が美しい。どのシーンも構図がバッチリ決まっているし、とにかく美しい。モノリスの出現をきっかけに猿人が骨を道具(武器)として使い始め、ある時その骨を空中に放り投げると、次の瞬間骨が軍事衛星に変わるシーン(*)。宇宙ステーションの回転に合わせて回転しながら近づく宇宙船。月面上をまっすぐ飛行する小型宇宙船を遠方から捉えた無音のシーン。惑星直列、そこにモノリスが浮かぶシーン。終盤に出てくるボーマン船長が時空を超絶スピードで旅するシーン。

*人類の400万年の進化の過程をこの一瞬で表現している。

この映画については解釈が一通りに定まらない。私は人類の進化に関与しているモノリスによって、人類よりはるかに進化している知的生命体、いや創造主・神の存在を暗示していると思う。ちなみに今読んでいる『3001年 終局への旅』に次のような件がある。
**このモノリスこそ、あとにつづく無数の神々のさきがけであったのだ。**(75頁、下線は私が引いた)**四百万年まえ、モノリスがアフリカに現れたとき、われわれ人類の祖先に何かが起こったというのは、こんにちでは定説だ。ここは前歴史時代のターニング・ポイントだよ。はじめて道具が現れた――武器が現れた――宗教が現れた・・・これが偶然の一致のわけがない。モノリスがわれわれに何かをしたのだ。**(182頁)

この映画終盤の展開の解釈を助ける次のような件もある。**ボーマンはどうやらビッグ・ブラザーに呑みこまれたが、彼の人格らしいものは生き残ったようだ。**(183頁)ビッグ・ブラザーはモノリスのことだ。

映画終盤の美しい映像シーンは未来へ未来へと時空が流れて行き、それがいつの間にか太古の世界につながって行く。このシーンには仏教の輪廻思想に通じるという指摘があると記憶しているが、私もそのように解釈できると思う。



『3001年 終局への旅』を読み終えたら『失われた宇宙の旅 2001』アーサー・C・クラーク/ハヤカワ文庫を再読しよう。『2001年 宇宙の旅』の映画化のエピソードが綴られている。




 


1195 松本市中川の火の見梯子

2019-06-09 | A 火の見櫓っておもしろい


1195 松本市中川 2脚無無型(火の見梯子)撮影日190608

 昨日(8日)、青木村と上田市の別所温泉に国宝の三重塔を訪ねた。帰りは青木村から国道143号で旧四賀村(現松本市)に出ることにした。3桁国道には酷道もあることは分かっていたが、あえて選択。案の定というべきか、くねくね道で、峠をふたつ、青木峠と地蔵峠を超えた。

酷道走行のご褒美か、松本市中川に火の見梯子が立っていた。





手元の地図を見ると、見慣れない記号がついている。凡例は急勾配国道となっていた。


1194 小県郡青木村の火の見櫓

2019-06-09 | A 火の見櫓っておもしろい


1194 小県郡青木村村松 3脚無無型(消火ホース乾燥塔)撮影日190608



 火の見櫓って何?という問いに対する「半鐘を叩いて火災の発生や鎮火等を知らせるための簡易で立体的な工作物」という答えによればこの工作物は紛れもなく火の見櫓だ。消火ホース乾燥塔に半鐘を吊り下げた、というのが本当のところなのかもしれないが・・・。


 


1193 上田市岡の火の見櫓

2019-06-09 | A 火の見櫓っておもしろい


1193 上田市岡 岡公民館 4脚4〇型 撮影日190608

 今まで上田には何回か出かけているが、この火の見櫓には気がつかなかったようだ。



プロポーション的には屋根がもう少し大きい方が好いかもしれないが、端正で美しい。屋根の反りはこのくらいが「和」を思わせる。







脚部。それぞれ柱材に添えた2本の部材と共に基礎に固定されている。がっしりとしていて見た目にも丈夫そう。